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8・離乳中。

 次の朝、おばあさまはなんだかウキウキといった感じだった。


「ゆうべとってもきれいな少年の夢をみたのよ。

神様だって言うんだけどちっとも威厳が感じられなかったからアレは

やっぱり私の勝手な夢なんでしょうねぇ。

でもとってもきれいな子だったのよ。

見とれちゃったわ。

その子はアナタのことが心配なのでよろしくお願いしたいって言ってたの」


あー、そういえば……おばあさまにも……とかなんとか言ってたよね。

ありがたや。

その方はオレ……いや私をココに転生させて下さった方です

元の世界の神さまはフサフサな白いヒゲの方でしたがココの神さまは少年でした。

まあ、そう見えてるだけかもしれませんが……

きれいで清浄な雰囲気の方でしたよね。


「あなたと私がお目に掛かったのが同じ方とは限らないけどまるきり別な感じも

しないわね。

ココは素直に神様にお言葉を頂いたことにしておきましょう。

でもコレは内緒よ。

神官でもない私たちが神様からお言葉を頂いたなんて普通あり得ないから」


そうだよなぁ……元の世界だってお告げとか神託とかってほとんど

お話の中だけみたいなもんだもんな。


「でも、夢でもきれいな夢だったから嬉しいわ。

最近そんな楽しいとか嬉しい夢ってみてなかったもの」


未亡人なおばあさま……

やっぱりいろんな刺激が少なくなってきてたのかもね。

オレがココに居ることで多少でも楽しいと思ってもらえるとイイよな。



二ヶ月は過ぎたので〈おすわり〉ができるようになった。

コレは普通なら七ヶ月か八ヶ月くらいだったと思う。

まだ不安定で油断すると後ろにひっくり返ってしまうけどね。

嬉しいのは〈はいはい〉ができるようになったことだね。

移動できるってのは嬉しくてしょうがない。


子供部屋というかオレの部屋の中は広いので這い回り放題だ。

日に一度、部屋からつれだしてもらって館の内外を散歩したりしている。

庭も広いしホントココは「お館」って感じだね。


肝っ玉かあさんのデカパイは一応卒業した。

もっともコップに搾ってもらってソレを頂いている。

動けなかった最初の頃は仕方なかったけど動けるようになったらやっぱり

直接飲ませて貰うのはなんかねぇ……恥ずかしくって……ね。

抱っこされて飲ませて貰ってるんだよ。


離乳食も頂いてるから母乳オンリーじゃあ無くなってるんだけどね。


最近なにか視線のようなものを感じるようになった。

はて? 

世話係さんでもデカパイ母さんでもおばあさまでも無い。

メイドさん達はカワイイけど家事のお仕事で忙しいからオレにかまってる

ヒマなんて無いみたいだ。


そんなある日、オレの部屋のドアがほんの少し開いていた。

そうして視線の犯人が入って来た。

トコトコと近づいてきたのはまだ2歳にはなっていないだろう女の子だった。

誰?  

と思ってる間に攻撃されちゃったよ! 

木でできたオモチャが飛んできたんだ!  

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