今 2
えっと……。俺、死んだよね? だよなぁ。トラックに轢かれたしな。生きてたらキモイわ普通。
でも……学校に来ちゃうのってやっぱ、未練ってやつかな。未練なら数えきれないくらいあるのに、学校で神納さんの隣に浮いてる辺りが俺らしい。
アメリカ行ってストリートバスケやる。
フランス行ってフレンチ食いたい。
東京行ってアキバ行きてぇ。
高校で文化祭もしたい。
コーラス部にせっかく臨時部員で入ったのに、コンクール出てない。
やりたいことだらけだ。……やりたかったことだらけだ。でも、俺は死んだ。だったらもう絶対、叶わない。
でもなぁ……今、幽霊としているわけだし。頑張ったら色々できそうだよなー。
バスケを見るくらいならできる。フレンチの匂いを嗅ぐくらいならできる。アキバに行くのもできる。文化祭も写真に写りこめるかも。コンクールも聞こえない歌声を出すことはできる。
(まー、無理だよな)
呟いた声は微かで、ああ俺幽霊なんだと思った。
(おーい神納さーん。聞こえてるー? ……つーかマジで大丈夫? 顔色悪いけど?)
今これ、どんな状況だ? みんな泣いたり叫んだり……。もしかして、俺のこと言ったから?
え、ちょ、神納さんが一番ショック受けてない? 泣いてないけど……でも、魂が抜けたみたいな顔してる。
「1時間目は英語だから、無理して普通に振る舞わなくていいから」
美舞先生がそう言って、教室から出ていく。あー先生、英語教師だからか。
「神納さん」
(あっリューちゃん! おーい。……見えねぇか)
「……ん?」
マジ? ヤバくね? 神納さん、生きてる? 周り見えてる? 音聞こえてる?
神納さん、たかが俺が死んだくらいでショック受けちゃダメじゃん。どーせ俺、なんにもできないバカなんだから。
「お葬式、ちゃんと来るよね?」
「おそうしき」
意味が上手く脳に伝わってないのか。焦点の定まらない目でリューちゃんを見上げる神納さんは、人形のように見えた。
神納さん。ごめん。俺、死んじゃってごめん。こんなに迷惑かけるなんて、思わなかった。知ってたら、もうちょい気をつけて歩いたのに。
ごめん、神納さん。




