過去 2
「はじめまして。霧生翼です。よろしく」
「はじめまして。神納由梨奈です。こちらこそ、よろしく」
うわイケメン。すっごいラッキー。若干緊張してるけど普段はお調子者?
「じゃあ趣味と特技と好きなものをお互いに言ってください。ついでに嫌いなものも」
げ、マジか。めんどくせ。まぁいっか。将来のために……、
サンプル採集は大事だよ。
「えーっと……。難しいなこれ。神納さんから先にしてー」
「えー……。……趣味は読書で、特技は将棋かな……好きなものは本で、嫌いなものは、」
ここで人間って言ったらどう思われるだろう。……生きづらくなる、やめとこ。
「クモ?」
あの八本足なに? で、なんでこっち来んの? きしょいんだけど。
これは本心だ。クモだけじゃなくて、基本的に虫は全部嫌い。足は2本で十分じゃぁぁぁああ!
「じゃ、霧生くんは? もう考えれた?」
「趣味はバスケで、特技はバスケで、好きなものはバスケで、嫌いなものは……つまんないもの?」
「ざっくり! てかバスケばっか。どんだけ好きなの?」
でも、背は低いよね? まだ私よりちょっと高いくらいだから……150くらい?
「小学校からずっとやってんだよね、俺」
打ち込めるなにかがあるって、たぶん幸せなんだろうな。よく本とかでも書いてるもんね。
嫌なこととか忘れられるって。
あれ、ホントなのかな。でも誰に聞けばいいんだろ。ネット?
「1年間よろしく、神納さん!」
「え、うん。よろしく、霧生くん」
握手、と手を差し出されて一瞬戸惑う。でもすぐに手を握る。
こんな、バカみたいに明るいやつがいるんだ。ふぅん……いいサンプルになるかもね。




