過去 6
さぁ、第2Qの始まりだ。そう思いつつ俺は腰を上げる。今の点数は13対15で、2点負けてる。
「まだまだ時間はある! 取り返すぞ!」
キャプテンの言葉に、全員が「オーッ!」と言う。よっしゃ、行くぞ……!
勇人くんからのパスを取る。スリーいけるか? いや、普通にレイアップだ。
左に視線を送って、次に瞬間、右にドリブル。2人抜いた。あ、ダメだ。抜ききれてない。ここは……。
「敦矢くん!」
4番を背負う、かっこいいキャプテン。敦矢くんに任せれば、大丈夫だ。そして思った通り、ボールは綺麗な弧を描いてリングに飛び込んだ。
スリーだ。さすがキャプテン。彼に持ち味は、小柄さを生かした機動力と正確なスリー。俺、スリーはちょっと苦手だしな。練習しないと。
第2Qの結果は、27対19だった。8点も勝ってる。第3Qでもっと引き離せたら、勝ちだ。
ベンチに戻ると、ベンチメンバーが一斉にうちわで扇いでくれる。
「翼、動き甘いぞ。先を見通して動け」
「はい!」
敦矢くんの言葉に全力でうなずく。なるほど、もっと先を……か。
「よし、お前ら。練習をいくらしても勝てなきゃ意味がない。だから、あのきつい練習に、意味を持たせてこい! このクォーターが勝負だ!」
はいっ、と全員の声が重なる。鬼のような顧問(普段はただの国語教師)が、試合のときはこんなに頼もしいとは。
あのきついきつい練習に、しっかり意味を持たせる。そして、先輩を県大会に連れていく!
なんとなく客席を見てみる。うわ、めっちゃいるし。……あ、神納さん。最前列に座ってる。
目が合った。大きく手を(というか腕を)振ると、神納さんは笑った。まだ仮面だなー。まぁいいや、若干手も振ってくれたし。
「また笑顔で手を振れたらいいな、翼」
「当たり前ですよ、勇人くん」
生意気な、と髪をぐしゃぐしゃにされた。敦矢くんは憧れ。勇人くんは兄みたいだ。
私の学校のバスケ部が、先輩のことを「~くん」と呼んでいたのでこうなりました。
そういえば他の部活もそうな気が。
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