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天使の梯子   作者: 柊木叶葉
9/10

天使の梯子 : Ⅷ 任務開始

 和弥は、朝目覚めるとクライアントから来ていた仕事の依頼を確認した。先日、仕事の際に和弥があげた、クライアントにとっても予想外の戦果のおかげで(さかき)コーポレーションの幹部 先島総悟との専属契約がなされたのだった。


 メールによると、依頼は同じく榊コーポレーション傘下(さんか)の子会社 栗山製作所の工場長 君野明(きみのあきら)の暗殺だった。

「こんなに次々と消していっていいのかな…」

 と思ったが、あの先島のことだ後釜は用意してあるに違いない、と思い直しリエに報告した後、あかねに作戦の立案をした。


 先日のおかげか、作戦はすんなり通った。今回の作戦は警戒されていることを加味して穏当(おんとう)にスナイパーで狙うことにした。幸いにも工場が見えるビルに囲まれていた。


 開店時間中、客足が途切れた時にリエに相談した。

「リエはターゲットを何mの地点から狙えるんだ?」

「そうですね、性能にもよりますが武器庫にあるものを使えば300mは余裕でしょう。」

「分かった、じゃあ35階立ての神峰ビルの屋上から狙ってくれ」

「和弥は、また資料の回収ですか?」

「出来ればな…」

 肩をすくめて返事をした。そう都合よく進まないことはよく知っている和弥である。


 作戦決行時刻になった。今回は中に協力者がいるらしいが、機密保持のため互いが互いの事を分かる程度の装置しか渡されていない。


 和弥はあかねの指示で、建物内の人を避け侵入していく。リエから準備完了の合図が出された。協力者に社長を指定のポイントまで誘導するよう合図を出した。数十秒後、社長室に潜入した。


 金属探知機を使って壁を探ると、一部分だけ反応した。薄く刻まれた線に添ってバールをくいこませると、

 ガコッといって外れ中には金庫があった。今回は最新式のレーザー銃で鍵だけを壊すことになっている。


 レーザーの距離を調節し、中身を焼かないように焼き落とした。急いで開けると中にはマル秘と書いてある書類の束が置かれていた……


 その時、バンっと音がして扉が開く

「社長!株主総会の件ですが……って、えっ?…キ、キャーーー!」

 和弥に気付いてひめいをあげたのは、秘書であった。

 和弥は急いで秘書に麻酔弾を撃ち込むと、書類を掴み逃走する。にわかに騒がしくなってきた工場内の雰囲気を背にして、窓からロープを使っておりると、追ってきた警備員達を麻酔弾で撃ち、前と同じように待機していた車に飛び乗った。


 あかねはすぐに発車させると、

「すみません、秘書が走っていったのに気づけませんでした。」

「危なかった…でも今回もうまくいったよ。」

 と予め少しだけ抜いておいた書類を渡した。

「ありがとうございます!」

 仕事の時でもあかねの喜ぶ顔を見るのは嬉しいものだ、なんてことを考えてしまう和弥である。だからこそ今夜の作戦は '成功させなければならない' 。


 途中であかねに降ろしてもらう。少し驚いた顔をしていたあかねに、少し笑って

「サヨナラ」

 と言った。あかねにぎこちない笑顔で返された。後ろ髪を引かれる思いでドアを閉める。


 車の後ろ姿と、さっき抜き取った資料とを見比べて、あかねとももう会うことはないだろうな、っと少し寂しいような感覚に襲われたが、次の仕事に意識を向け、通信機を付け替えて言った。

「リエ、俺達の戦いを始めよう」

了解(ラジャー)和弥(マスター)


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