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天使の梯子   作者: 柊木叶葉
4/10

天使の梯子: Ⅲ ハッカーと殺人鬼

「いらっしゃいませ」

 と和弥がいうと、その可憐な容姿の客はおずおずと切り出した。

「あのー…お仕事の件でコウヤさんと組むことになっているものですが…コウヤさんはどちらに?」

 和弥はそれを聞いて、どの仕事のことか一瞬分からなかったがパートナーを組む仕事なんてひとつしか思い出せずに

「あぁ、その件でしたら父の都合により、僕が一任されました。」

 と言った。父が死んだということを伏せたのは、親戚から秘匿するよう言われているからだが、サラリと嘘をついたことに若干の罪悪感を覚える。

「それで、今回はどのようなご要件で?」

「はい、メールを何度か送っていたのですが返事がないようなので、念のため……」

 失念していた、そのような裏の仕事なら、こんな大っぴらな打ち合わせなんてするわけがないではないか、と少し慌てていると、リエが耳元で、メールの概要と相手の情報を簡潔に説明してくれた。

 それによると、相手はコンピュータプログラムのハッキングを専門とするハッカーで、メールには、潜入する施設の地図、警備員やセキュリティなどが書いてあったという。

「ありがとう」

 とリエに言って、相手を見ると、居心地悪そうにもじもじとしていた。少し申し訳なく思いながら、

「こちらの不手際でご迷惑をおかけして申し訳ありません。では、改めて自己紹介をしましょう。僕はわだ…綿貫鋼弥の息子、和弥と言います。」

 相手のオーラによって、和弥は警戒を解こうとしてしまった。それを少し見とがめたが、相手も、

「ご丁寧にどうもありがとうございます。私は伊吹あかねと申します。」

 と名乗った。


 --その時、店のドアが急に開いて一人の少年が入ってきた。

「コウヤー!たま切れたから補充に……あれ?あかねと、誰?」

「…あぁ、この方は鋼弥さんの息子の和弥さんです。和弥さん、こちらは殺しを生業にしているユウさんです」

 あかねは先方と知り合いだようで、互いの紹介をしてくれた。

 --殺し屋…?

 外見とかけ離れた事実に少し驚きながら、和弥も

「よろしく」

 と言うと、

「よろしくね〜!」

 快活な性格のようで、毒気を抜かれたが、次の台詞で現実に戻された。

「で、銃の弾を買いに来たんだけど。はやくちょーだい!」

 ふと隣を見るとリエが銃の弾を持って立っていた。驚いていると、リエは和弥にウインクして、ユウに差し出した。

「ありがとう!これで足りるよね」

 とプリペイド式のマネーカードを出して機械にかざす。アナログだな、と思ったが足がつかないようにするためなのかな、とひとりで得心していると、その間に買い物を済ませたユウは、リエから商品を受け取ると

「バイバイ〜!」

 と言って帰っていった。


 あかねも呑気に手を振っていたが、我に返ると

「で、では今夜決行ですね、無線でサポートしますので、この通信機は外さないでください」

 と豆粒のようなものを渡すと、いそいそと帰っていった。


「おい、まさか初仕事が今日なんて……」

 とリエの方へ向くと……にっこり笑っていた。和弥は真実に気づくと、ため息をついて言った。

「……じゃあ、さっき言ってなかった情報を聞かせてくれ」

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