なになに
「ただいまー!」
今日の散歩は終わって、お家に帰ってきました。
靴は脱いだらそろえましょう。
階段を上がろうとすると
「おかえりなさい」
「あ! お母さん! ただいまー!」
階段の途中で私はお母さんに手を振ります。それに振り返してお母さんはダイニングの中に入っていきます。私は二階の自分の部屋で絵本さんのお話を聞きます。
絵本さんたちは、みんながそれぞれ違ったおもしろい話を知っています。今日はどのお話にしようかな。
「あれ?」
本棚の隅っこに知らない本さんを見つけました。
赤くて薄い本で、触ってみるとふわふわしてます。
「なんだろう」
私はその本さんを取って、開いてみます。
「……」
……それは……でした。
ペラ――――――
そこにはお父さんとお母さんの……んがありました。
たくさん……たくさん……たくさん……たくさん……
ペラ――――――
笑った顔、真剣な顔、うれしそうな顔、……
でも……
ペラ――――――
そのアルバムに………私の写真は一枚もありませんでした。
……ボト――――――――――
(お父さん……お母さん……私………)
「あなたは……誰?」
背中から、声がしました。
・・・
「ん? あの子? あああの子ね。
ん? あの子で伝わるよ。僕は分かるからね
ん? どうしたの? 思い出せない? 名前が? なんだそんな事かい……
誰か……彼女のことを名前で呼んでたかい?
居ないものに名前は与えられないよ」