るんるん
今日は町の中をお散歩です。
商店街にはいろんな人たちがいます。
「こんにちは家さん」
「こんにちは」
「こんにちは電柱さん」
「こんにちは」
「こんにちは雀さん」
「こんにちは!」
「あ、おじさん! こんにちは!」
「……こんにちは」
今日も天気は晴れ。青空のお散歩日和です。
あ、八百屋の野菜さんたちが何か喋ってる。
「こんにちは野菜さん」
「やあ君か丁度良かった」
「どうしたの?」
「トマトのやつ、中に虫が入ってたみたいなんだ」
「え!?」
私は驚いてトマトさんを見る。するとトマトさんが苦しそうな声を上げている。
「うう……痛い。痛いよぅ」
「ホントだ! 待ってて! 今すぐおじさんに言って取ってもらうから!」
私は八百屋の中に入って、おじさんを探す。おじさんは奥でほかの野菜さんたちを整理してました。
「おじさん! トマトさんを助けてあげて!」
「!!」
私が声をかけると、おじさんは目を大きく開いて止まってしまう。何をしてるのかな。早くトマトさんを助けてほしいのに。
「おじさん!」
「……あ、ああ。なんだい?」
なんだか慌てていたように見えたけれど、今はそんなことよりトマトさんだ。
おじさんに説明すると、おじさんは急いでそのトマトさんのところに行き、
「ああほんとだ信じられん! 文句言ってやる!」
と、そのトマトさんをとり、ポイと横に会ったゴミ箱に叩きつけるようにして捨ててしまいます。
べちゃ、と濡れるような音が聞こえ、トマトさんの声が聞こえなくなりました。
私は急いでゴミ箱のところに行き、覗き込んでみます。すると、
「おーい。助けてくれー」
「だれー?」
「俺は青虫さ。トマトの中に入ってたんだけど、君のせいでここに落ちちゃったんだ」
「ごめんなさい」
悪いと思ったらすぐに謝ろう。
許してもらう代わりに私は青虫さんをゴミ箱から出してあげた。その時にトマトさんの汁が少し手に着いちゃいました。あとでちゃんと洗わないと。
私がゴミ箱から手を出すと、
「ねえ、その青虫。こっちに飛ばさないでね」 なすびさんが言ってきます。少し怖がらせてしまったみたいです。
「大丈夫よ安心して! 青虫さんは絶対あなたたちに着けないから」
「おいおいなら俺は何を食べて生きていけばいいんだ?」
「あ、そうだった……」
どうしよう……そうだ!
「なら私の家に来るといいわ! うちにならたくさんお料理があるもの!」
「そりゃあありがたい! ならぜひともごちそうしてくれ!」
「もちろん!」
私は青虫さんを手に乗せると、今日はちょっと早いけど家に帰りました。