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てくてく

 じゃっ、じゃっ、じゃっ、

 

 小石さんが敷き詰められた公園の道を歩くとそんな音が鳴る。

 私はこの音が好き。なんとなく気持ちいいから。

 お散歩は私の趣味なの。だってみんなに会えるから。

 かせんじき? っていうのかな。今日は川を見たくなったの。

 あ! 今お魚さんが跳ねた! 行ってみよっと

 河原まで下りた私はお魚さんに挨拶します。ちゃんと頭を下げてね。

「こんにちはお魚さん!」

「……やあ君か。こんにちは」

 川のせせらぎと一緒にお魚さんの声が聞こえてきます。でも何だか元気がないみたい。心配です。

「どうしたの?」

「昨日の雨で僕の友達たちが流されてしまったんだ。探してるんだけど……」

「え!? 大変! 私も探すわ!」

「ホントかい!? ありがとう!」

 そう言うとお魚さんはぴちゃりと跳ねます。

「皆が流されたの?」

「僕と一緒なやつら皆さ。群れだからすぐに見つかると思うんだけど」

「分かったわ! 私が連れてきてあげる!」

「ありがとう!」

 というわけで今日はお魚さんのお友達探しをします。

 流されたって言ってたから、河原から川の流れる方に歩いていきます。

 

 ぺちゃ、ぺちゃ、ぺちゃ、

 

 草を踏む音はなんだか湿っている。きっと昨日の雨の精よ。

「ごめんなさい」

「いいよ。慣れてるからね」

 しばらく歩くと、河原のところに何かが落ちているのが見えました。

「あ!」 私はそれが何なのか分かったので、急いで走ります。

 近くまで来てみるとそれはお魚さんたちでした。

「見つけた!」

 私は大きな声を出した後、急いで口を塞ぎました。だってみんな眠っているみたいだったから。

 起こしちゃダメ。私も眠ってるのに起こされたら嫌だもん。お魚さんたちも一緒だよね。

 でもどうしよう。こんなに運べないよ。バケツさんがいてくれたら別だけど。

 ん~、と私は腕を組んで頭を捻ります。頑張って考えます。

「……そうだ!」

 あ、大きな声出しちゃダメなんだった。

 私は体の向きを変えると元の場所に戻ります。

 そこにはまだお魚さんが泳いでいました。

「見つけたよ!」

「本当かい! ありがとう!」

「でもみんな寝てるみたいだったから連れてこられなかったの」

「そうなのかい? まだお昼だってのに」

「きっとお昼寝なのよ」

「珍しいこともあるもんだ」

「お魚さん。こっちにきて」

 私は手にいっぱいに水を汲んで、お魚さんを中に入れます。

 そして急いでさっきの場所に戻ります。

「はあ、はあ、大丈夫お魚さん?」

「はあ、少しだけ苦しいかな。場所はまだなのかい?」

「もう少しよ。ごめんなさい草さん、雨の精さん」

「気にしないで」「さっきも謝ってくれたしね」

 そこで私は滑って転び、お魚さんが地面に投げ出されてしまいます。

「あ!」

 お魚さんは地面に落ちるとぴちゃぴちゃと跳ねます。大変! でももう少しで着く。

 私は少し迷った後、お魚さんを掴んで走ることにしました。

「もう少しだから我慢してね」

 そしてやっと他のみんながいる場所に着きました。

 そこで私は急いでお魚さんをみんなのところに置きました。

「間に合った」

 お魚さんはぴちゃぴちゃと跳ねます。でも何も言いません。恥ずかしいのかな。

 その嬉しそうな姿を見ていると、なんだか私も嬉しくなってきます。

「じゃあねお魚さん。みんなと仲良くしないとダメだよ」

 お魚さんは何も言いませんでしたが、最後に優しく跳ねました。さようならって言ってるのかな?

「うん。バイバイお魚さん! みんなもバイバイ!」

 私はお魚さんたちみんなに挨拶をして歩き出します。お散歩再開です。

 次は誰に会えるかな。楽しみです!

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