友達になりましょう
「私の友達になってはくれないか?」
「はあ⁉︎」
いきなりのカミングアウト。俺は驚きを隠せずにいた。
だって、先程まで俺のことを串焼きにしようとしたり、尖った鉄パイプを向けてきたりとそんな危ないやつから突然、
「友達になろう」
と言われたらだれだって驚く。
「なんだ?意味がわからなかったのか?私の友達になってほしいと言ってるんだ。」
「いや、言葉の意味はわかるよ。意味がわかってるから驚いてるんだよ。」
「今の言葉におかしな所があったか?」
「ああ、言葉はおかしくないな。だが、さっき俺に向けてやったことを考えるとその言葉がでるのはおかしいな。」
「なんだ。引きこもりには難しかったか。」
「さらっと友達にしようとしてるやつを攻撃するな、そういうことするから俺が理解できないんだよ。」
ラノベでもこんな理不尽なキャラいないぞ。
「貴様の理解なぞどうでもよい。私の友達になるのか?それともなるつもりなのか?」
「友達になる選択肢しかねえじゃねえかよ!
」
「それはそうだろう。私と友達になるなぞ光栄だろ。」
「お前どこの嬢王様だよ。」
友達が少ないラノベのギャルゲー好きのお嬢様でもそこまで理不尽じゃねえよ。でも、体はあちらの方が成長してるか。どちらかというと真反対だな(笑)
ビュンッ ジュワッ
「うわっ、危なっ」
おい!また尖った鉄パイプを振り回してきたぞ。しかも今、摩擦でかるく火がでたぞ。こいつ人間じゃねえだろ!
「今、私の体をバカにしなかったか?」
しかも、読心術まで使いやがる。
「い、いやだなぁ。そんなわけないだろう。えーと、友達になるだったな、うん、お願いします。」
もしこのまま、断っていたら大変なことになっていただろうな。
「仕方が無いな友達になってやろう。」
「お前がなろうといったんじゃないか!」
なんだこれ!理不尽通り越してるぞ!
「ふ、冗談だ。」
「当たりまっ」
その時彼女が向けた笑顔に俺の出かかっていた言葉が引っ込んでしまった。久しぶりだな、こんな笑顔をみたのは。
そして、俺の心に暗い、モヤモヤした何かが蠢いた頭の中である光景がフラッシュバックしてきた。
大勢の人が高い高い天空からのびている階段にいる自分を見上げている。
その中には、親の仇の様な目で睨みつけている者、今にも泣き崩れそうな者など様々だ。
ただ一つ言えることはだれ一人として自分に対し憎しみを向けていない者がいない。
そんな中、自分は笑っていた。
笑えざる終えなかった。そして皆が声を揃えて言う、
「魂を売った勇者だ」と。
それだけではない、その後皆は「消えろ」や「死ね」などを繰り返している。
まだ笑が止まらない俺はただ一言
「ーーーーーーーーー」
「おい‼︎」
そこで意識が突然十六夜の方に向けられた。
「おわっ」
突然大きい声を出すからおどろいてしまった。
「なんだよ、突然。ビックリしたじゃねえか。」
「貴様がボーとしてるからだ。私の友人なら、もっと私と話す時は気合を入れろ。」
「それは本当に友達か・・・?」
友達ってゆうのは気が抜けるような、安心していられる関係だよな。
「ふん。もう良いわ。こんどから気をつけろよ私の奴れ・・・友達なんだから。」
「おい待て、今奴隷と言いかけなかったか?」
「そ、そんなわけがないだろう。」
「絶対嘘だ!」
友達はそんな怖い関係じゃないはずだ!
いや待てよ。ま、まさか、俺が引きこもっている間に友達の価値観が奴隷に移行したのか・・?
「そんなことより、着いたぞ。多分、お婆さんはここにいる。」
ちょつと待て俺にとってそんなことではない。この後のライトノベルが大変な事になる。
「ほら、入るぞ。」
どうしよう、ラノベの友達がいつの間にか奴隷になっていたら。あの本のタイトルが・・
・「ぼくは奴隷が少ない」になってしまう。
それ、ただのSM本だろ。てか、どこの大海賊時代だよ。
「おい、さっさと来い。」
「はいはい、わかりましたよ。」
ここどこだよ?
店の看板をみたら一目でわかった。
そう、そこは・・・
「なんで布屋?」
布屋だった。