いつもの朝。
ピピピッ、ピピピッ、
とある寮の一室で目覚まし時計がなり響く。時刻は午前六時を指している。
「んむ、、、。」
その一室にて、一人の女性が起きようとしている。
その姿は、「まるで天女が目覚めようとしている」と表現できる美しさだ。
彼女は目をこすりながら、重たいまぶたを開けた。
「・・・うるさい」
そうつぶやくと、目覚まし時計のアラームを切った。
しかし、力を入れすぎたため普通なら「カチッ」となるはずが「ガシャンッ」となった。寝起きは、低血圧なので不機嫌だ。
「・・・顔洗おう」
洗面所に向かう途中で何度かあくびをしたが、冷たい水で顔を洗うと目が覚めた。そこでやっと彼女にスイッチが入る。
彼女の一日は顔を洗ってから始まる。
その後寝室に戻ると、カーテンを開けて太陽の光を全身で浴びる。
今日は日差しが強い。
カーテンを開けた後、制服に着替え、朝食を作りはじめる。
朝食を作ると言っても、ご飯は昨日の夜炊いたし、味噌汁も昨日の夜の残りがあるし、冷蔵庫にも昨日の残りの漬物とサラダがあった。
しいてやることと言ったら卵を焼くくらいだ。
冷蔵庫から卵を出して、フライパンにごま油をひき、火をつける。
「今日は、スクランブルエッグにしよう。」
5分後、朝つくったスクランブルエッグや味噌汁や漬物やご飯などをテーブルに出して朝食の完成だ。
味噌汁やスクランブルエッグのおいしそうな匂いが部屋をうめつくした。
「いただきます。」
朝食を10分で済ませ皿を片付ける。
その後10分間、朝の神へのお祈りをしてから部屋を出る。
これが、いつもの彼女の朝である。決して、外に出た瞬間に叫んだりしない。
だが、今日の朝はいつもと違う。
いつもだと、このまま学校に行くが今日は違う。
本屋に寄らなくてはならないのだ。
理由は、ラノベを買いに行くため、ではなく。今日発売の雑誌「人類史の神話」を買うためだ。
この雑誌は、人類史に名を残した人物たちについてを題材にして毎月発売している。紹介される人は聖人から悪魔とよばれた人間まで、ありとあるゆる人についての特集がされている。意外と人気があるらしい。
しかし、今まで彼女はこの本を買ったことがない。確かに面白そうではあるが、読む暇がないのだ。
にもかかわらず、今月のは買おうとしている。なぜか?
答えは簡単。「今月特集されるのは彼女にとって重要な人の特集なためどうしても欲しくなったから」だ。
そのため、時間の余裕のある朝買いにいくしかないのだ。
だから、今日はいつもとは違う朝になってしまった。
だが、そのいつもと違う朝が彼女の人生を大きく変えることになる。
それはまだ誰も予期できなかったいつもと違う朝のできこと。