引きこもりが外に出る!あれ?それって引きこもりじゃなくね?
カタカタカタッ
カーテンが締め切った暗い部屋でパソコンの音だけ響いてる。
カサ・・・、カサ・・・、
いや、本当は別の音も響いている。
しかし、パソコンの音の方が大きく、その音にかき消されているだけだ。
「はあ・・・。いい作品だったなあ〜。まさか、最後で主人公がヒロインの敵になった時はビックリしたけど、殴ったり、切ったりして止めるなんて。超ツンデレヒロインだったな。てかあれ、絶対殺す気だっただろ。死ぬよあれは。」
暗い部屋のなか、パソコンを足で操作しながら威勢良く今読んでいたラノベの感想を吐く男子が一人。
そう、俺こと佐陀魔喪である。
今読んだラノベの感想を自信のブログに掲載しているのだ。
「こんなもんかな。星の数は、んー、四つだな。結構面白かったし。後でアニメ見ないと。あの、声優さんの代表作みたいなもんだからな。てか、なんで今までこれ読んでこなかったんだ?まだまだだな、俺も。」
年齢が17歳にして一日に読む本の数は10冊以上と言う文学少年のブログだ。
実は、利用者も1万人を超えている。
すごいだろ、ふふん。と威張ってはみたが、実際、俺はラノベしか読んでない。
だから、利用者のほとんどはオタクだ。
ついでに言うと、ラノベ以外の本だと一冊読むのに3日かかる。本ってむずかしいなっ。
現在、午前7時。普通ならこの時間、俺のような学生は学校に行くため目覚まし時計に叩き起こされる時間だ。
今思うと、あれなんかめっちゃイラつくよな。なんであんなにイラつくだろう。なんかイラついてるのに超眠いだよな。だから余計イラつくんだよ。
あー、ヤバイすげーイラついてきた。
いっそのこと訴えようかな、騒音とかで。
いや、金の無駄だやめよう、ラノベ何冊買えるんだよ。
もったいない。
もったいないおばけどころか、もったいない魔王がでてきそうだ。
てか、もったいない魔王ってなんだよ。なんだ、ラノベで勇者がでてくるたびに耳元でずっと「もったいない」と言いながら笑ってくるのか?
やべぇよ、勇者が出てくるラノベ読めねぇよ。怖いよ、もったいない魔王こわいよぉ。
ぶるぶる。
なんの話してるんだ、俺?
あ!そういえば今日、「デット?orアライブ?」特装版の発売日じゃね。
あれ?今何時?たしか、あそこの本屋開店7時半じゃなかったけ?ヤバイ、いそがないと。
あれ超人気だから売り切れちゃうよ。
現在、7時15分だ。まだ、間に合う。ここから徒歩三十分だから「天の鳥船」使えば・・・
まだ、間に合う。
そして彼は、
「うおーーーーー」
引きこもりの天敵である外に今、一歩を踏み出した・・・・
「ぎゃーーー、日差し強いーーーー。目が、目がーーー」
まあ、暗いところから太陽の下という明るい所にでたらそうなるわな。
たださえ、引きこもりなのに。