ちょっとお疲れな俺
午前。
ホームなルーム前。
キーンコーンカーンゴーン…
もう自分でニリ…
あ、噛んだ…。
スンマセン、出なおします。
キーンコーンカーンゴーン…
もう自分でノリツッコミをやるい…
また、噛んだ。
キーンコーンカーンゴーン
もう自分でノリツッコミをやる気すらなくなり始めている今日この頃…。
(よしっ!言えた!)
今日は朝から朝礼をやるらしい。
ま、朝なんだから朝礼だよな。
ん?
ふと教室の掲示板が目についた。
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連絡
本日は、お昼休みの後半と、午後の授業を潰して、昼礼及び、午後礼を行います。
ですので、速やかにとっとと飯を食って戴いて、遅れた奴から奈落の底に突き落とすんで、宜しくお願いします。
by 校長
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んー、そうか、昼礼と午後礼か。じゃぁ急がねぇとな…。
………。
「葵、お前ツッコまねぇの?」
「ん~?」
「なら、俺がツッコむけど。」
「…。」
「…。」
「直哉、俺の仕事取んな」
「りょーかい。じゃ、いつも通りによろしくな~」
手を振りながら去ってゆく友…。
彼はどこに行くのだろうか…って、さっさとツッコめ!俺っ!
昼礼と午後礼って何だよ!?何なんだよ!?
それに午後の授業潰すって仮にも校長が言っていい言葉なのかっ!?
教育上っていうか、この大国じゃないけど、日本って国において公認して言っていい言葉なのか!?
俺の小学校の先生なんか、総合の授業潰してお楽しみ会やるのにも多少口ごもってたぞ!?
『皆さん、周りのクラスは授業やってるところもあるので静かにやりましょうね!』
って!!!!!
…。あれ?口ごもってない…。
ま、まぁ、それは置いといて!
(ねぇねぇ、直哉兄、今日は葵兄のエンジンかかるの遅いね!)
(そうだな、けど、まぁ見てろ!俺、今日はとっておきの用意したんだよ!)
(とっておき??何??)
(まぁ、待てって!後のお楽しみってやつだよ!いい子に待てたらまた、なんか菓子でもやるよ!)
(うん!わかった!)
何か聞こえた気もするが、俺はとりあえずこれ以上話がグダらない様に信仰させた方がいいらしい。
って、おいっ!何が信仰だよ!?進行だろ!?変換ミス!!気をつけろぃ!
えー、お見苦しいところをお見せしてスンマセン。
続けます。
おっほんぐっ、うっ、ぐえっ…!
(直哉兄、葵兄が汚い…)
(うん、まぁそうだな…)
(僕、直哉兄がホントのお兄ちゃんだったらよかったのに…)
(お~!嬉しいこと言ってくれるな!俺もお前みたいな弟欲しかったんだよ!うち来るか??)
(うん!)
げほっ!おい!げほっごほっ!そこっ!
勝手に話を変な方に進めるな!
((はーい))
えー、それで?
俺どこまで話したっけ…?
あ!そうそう!小学校の先生が…って、それはもういいよっ!
で?なんだ?昼礼と午後礼の場所どこだよ…。
書いてない…。
ってことは、なんだ!?
いつものとこって事か!?
いつもって言ったって、同じ場所で2回も三回もやった記憶なんて、俺無いんですけどっ!?
(入学式はプール内で、そのあとはふつーに体育館の時もあってホッとしたのもつかの間な感じで、北極で集合させられたり、アメリカだったり、時には宇宙だったり…。それに、そういえば全部交通費とか色々校長持ちだった気が…。)
ま、昼礼、午後礼って言うんだから、なんかまた変なとこに行くわけはないか。
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昼休み後半。
って!
考えてた俺がバカだったぁ~~~~~~!!!!!
集合場所俺ん家ってなんだよ!?
新手のいじめか!?いじめなのか!?学校全体でのリンチなのか!?
「その頭でよくわかりましたね~、多々良葵君。」
なんかお茶啜ってる変なおじいさん出てきたんですけどっ!?
それもサラッとひどいこと言われた気がするんですけど!?
「あ、あの、おじいさん、どなたでしょうか…?」
恐る恐る聞いてみる俺。
「はぁ?おい、小僧、少し学校主体でのリンチに気付いたからって校長にそんな『おじいさん』なんて口利いていいと思ってんのかぁ!?あぁ!?」
まさかの校長だった…。
それも、言葉遣い…。まるで教師じゃないんですけど…。
れなちゃん先生こと、河野礼奈先生とか、名前に『礼儀』の『礼』ついてるのに、ヤンキーっぽい先生が多いのはなぜだろう…。
そう、遠い意識で考えていた俺の耳に聞こえた言葉。
「おい!小僧!聞いてんのか!?この清松園高校校長の清松園礼三の話を右から左に流すたぁ、どういう了見だっ!?」
あ、校長先生も『礼』の字入ってた(笑)
というか、校長先生、俺校長先生の右側にいるんで、正しくは左から右に流してます、ハイ。
「なんだと!?」
「へ?」
(直哉兄、なんか葵兄またやらかしたみたいだね)
(そうだな。ありゃ、もう救いようがねぇな)
(そうだよね?僕もうだいぶ眠いから帰っていいかな?)
(いいんじゃね?俺からも先生に言っておくけど、お前も自分で先生に話しとけよ~?)
(はーい!)
おいっ!碧!お前、兄貴見捨てる気か!?
こんなにか弱い兄貴を見捨てるのか!?
(別に。か弱いキャラは僕だから、勝手にとらないで?)
冷たい目で言われた…。
(言葉無くても通じんだな~。さすが、兄弟ってすげ~)
直哉!お前秘策とかあんだろ!?助けろよ!?
(葵の奴なんだ?ん?口パク?)
『直哉。お前いあうおああんあお。あうえおお。』
(ん~、俺口パク解読すんの苦手なんだよな~。まぁ、なんか言えってことか…? よし。)
「こうちょー!」
ほっ…。何とか伝わっ
「葵が『校長の禿げ頭っていつも眩しすぎて見れねぇよなっ!』ってこの間笑いながら言ってましたぁぁぁぁぁ~!!!!!」
「なんだとぉ!?」
…。
こいつに頼った俺がバカだったっ!
ここでそれ言うか!?普通!?
ん?今日の俺、自分がバカだった宣言二回目??
いや、んなこと今はどうでもイイッ!
早く危機を乗り越えねばな
「それと~っ!」
「なんだ!?まだあるのか!?」
「俺も同感で~す!!あははっ!」
…。
前から思ってるんだけど、
なぜこいつは自分から地雷を踏む!?
アホなのか!?
清々しいまでの天然記念物的珍しさを持っていないようで持っているアホなのかッ!?
そんな俺の必死のツッコミは虚しくも宙に消え、その日の昼礼及び午後礼は俺たちの公開処刑場になったのだった…。
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ちなみに、昼礼、午後礼で行う予定だった、新入生歓迎会はまた別の話。