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ある日のこと

第1話


暇だ。暇すぎる。

「俺は、暇人だぁ~っっっっっ!!!!」

正午のこと。俺の叫びが世界中に轟いた。(Twitterと外階段から)


「お前、馬鹿じゃねぇの?いや、馬鹿だろ。これは馬鹿のマネとかしてるわけじゃなくて馬鹿なんだな!?お前は!!!!」

「直哉、お前馬鹿じゃねぇ?馬鹿馬鹿言いすぎなんだよ、馬鹿。」

「そりゃお互い様だろ?馬鹿1号。」

「まぁそうだな、馬鹿2号。」


遡ること約3時間。

俺はいつものようにふつーに授業を受けて、ふつーに問題聞いてなくて、ふつーに怒られながらも今日という素晴らしい一日を過ごしてた。はずだった。

そう、12時になるまでは。

弁当も食い終わって、外でサッカーしてるやつら見ながら

「若ーなぁ…」

って呟いて(Twitterと口頭で)、暇だなぁって思ってたら余計に暇になって、気づいた時には叫んでいた。

『俺は、暇人だぁ~っっっっっ!!!!』


そして、本日5度目の職員室。

俺ってホント、職員室好きだわ。もう好き通り越して大好きだわ。って、なんでやねん!

てか、俺自分で自分にツッコミすぎじゃね!?

誰かツッコめよ!だれか俺のボケに!じゃねぇと、俺寂しくて死んじゃ(略


周りの目が痛い。

なぜだろう。

また俺は口に出していたのだろうか?

俺は思い切って隣にいる直哉に聞いてみた。

「直哉、もしかして俺また変なこと言った…?」

「ん?たとえば?」

「俺が『暇人だぁ~!』って叫ぶまでの経緯とか、誰か俺のボケに突っ込んでくれよとか、じゃないと寂しくて死んじゃ(略。とか」

「何お前、今度はそんなこと考えてた訳?面白すぎ!」

直哉は目の前で涙を浮かべるほど笑い転げている。

まさか、これは…

「お前、またはめたのかっ!?」

「くくくっ!お前気づくの遅すぎ!あははははは!」

何このデジャヴ感。

てことは何?俺今度は職員室で恥晒しちゃった系?

うわ…。

周りで見ていた先生の一人が苦笑いしながら

「まぁ、叫びたくなる気持ちはわからなくはないよ?僕もそういう時期があったからね。けど、近所迷惑になるかくらいは気を付けような?」

と言ってきた。そんな先生に対して放った言葉はただ一つ。

「けど俺、暇人なんです!!!」

「葵兄暇なの?」

突然聞こえてきた澄んだ声。

まさかと思って、恐る恐る振り向くと、異様に笑顔な弟が一匹。

「葵兄暇なんだ。たった今日一日で職員室までの呼び出し5回なんだって?僕は悪いこともしてないし授業も真面目に聞いて参加してるし、成績も葵兄と違って優秀な生徒なのに、なんで急に先生に呼び出されたのかな~って思ってたら、葵兄をどうにかしてくれって言われたんだよね。僕の休み時間どうしてくれるの?もちろん何か対価はくれるんだよね?」

ニッコリ笑う碧のオーラが黒く感じるのはなんだろう。錯覚だろうか?

それも、今さらっと『僕は優秀です』とか『対価あるよね』とかいろいろ言ってたよね?

こいつ呼んだ先生、人選間違えたんじゃね?


「葵兄、口に出てるんだけど。」

「…マジ?」

「僕が嘘つくと思う?」

笑みが深くなった気がする。

そして、隣にいる直哉はますます笑い転げる。

コイツ。碧の怖さわかってねぇだろ。

まぁ、兄弟の俺より接点内ないから当たり前だろうけど、これはちょっとマズイかもしれない。


「あ~、碧様。大変申し訳ございませんでした。」

「なんで。」

「はい。って、はぁっ!?」

「だから、なんで。」

「それはその…」

「どうせ葵兄の事だから、謝れば済むとでも思ってたんでしょ。」

うっ…。コイツ、さすが俺の弟だからか鋭い…。

「勝手に『俺の弟だから鋭い』とか思わないでくれる?葵兄。」

「え!?俺今しゃべっ」

「しゃべってはいないけど、それくらい読めるよ。」

コイツ、まさか俺の知らないところで超能力でも習得したのか!?エスパーなのかっ!?!?

「勝手に超能力者にしないで。」

「っ!」

「…。」

「な、なぜわかった…?」

「葵兄、ネタがばれて追い詰められた悪者の役みたいな真似事とかやめない?」

盛大にため息をつく碧。いや、コイツはきっと碧じゃない。碧に変装した誰かなんだ。だからエスパーとか超能力とか使えるんだなっ!

碧!待ってろ!今兄ちゃんが助けてや

「ぐふっ!!!」

「馬鹿兄、もう黙ってて。」

碧に殴られた俺はそこで意識を失う。はずだった。

床に沈んだ俺の襟首を掴み、碧は俺の体を無理やり起き上がらせると、これはもう素晴らしい笑顔で懇切丁寧に言い放った。


「先生方、いつも兄がご迷惑おかけしてごめんなさい。兄のことは僕が責任を持ってボコっておくので心配は無用です!」

(いや、逆に心配必要だよ?無用じゃないよ?逆だよ??)

「そこで、提案なんですが、ほら、有名な方で、躾に一番効くのは痛みだって言ってる人もいらっしゃいますし、今から僕と兄で早退してちゃんとボコろうと思うんです。あ、もちろん家にある評議場ですが。でないと、明日学校来れないと思うので!」


(ちょっと待って!今度はアレ?アレなの!?あのネタいっちゃうの!?

俺再生とかできないよ!?休養いっぱい必要だよ!?マジで!?てか、評議場ってどこ?どこなの!?)


「あ、評議場っていうのはリビングの事です!母や父にもこの惨状を伝えたいので!」

(リビングなんだ…。というか惨状を伝えたいって、碧、お前の本性がバレるだけだろ…)


「あぁ、それと、僕のこの性格は母も父も知ってるので、何の問題もないと思います!」

天真爛漫にニッコリ笑う碧。

それを呆気にとられて見つめる先生方と俺。

そこで、俺は大事なことに気付いた。


母さんも父さんも碧のこの性格知ってたのかよっ!?

それも何?公認!?公認なの!?もう最早手立てとかない感じ!?

俺ボコられるの!?弟に!?

あ、そういえば、コイツ俺より背高くね?

いつ抜かされたんだろ…。

…。って、じゃねぇだろ!考え込むな、俺!

今考えるべくは、ここからの抜け道だ…。

でも、碧って俺が高1の時俺より5cmくらい低かったんだよな…。

って、なんでそこに戻んだよ!?

戻んの早すぎだろ!

はぁ、だめだ。頭が全然動かねぇ…。


「じゃあ、そういうことで!」


ん?

そういうことで?

そういうことでって何だ?ついに俺の刑が決まったのか!?

ボコられるのか!?


「葵兄?ほら、帰るよ?」

「お、俺は偽物なんかには騙されねぇぞ!?お前にボコられるなんか嫌だからなっ!!!」

「ふっ、ふふっ、っく。ははははは!」


急に意識が再浮上した俺。

そして、またもや笑い転げる直哉。

またまたデジャヴ感だ。


「へ?直哉?お前帰ったんじゃなかったのか?」

「なんで、っくく、お前の頭ん中じゃっ、俺が帰ってんだよ!あはははっ!」

「だ、だって、お前途中から何にもしゃべってねぇし…。」

「直哉兄はずっと僕たちと一緒だったよ?」

「あ、碧!?い、いや、こいつは違う、碧じゃない!偽物だ!早く逃げねば!」

「ちょい待ち、葵!お前何言ってんだ?」

「は?だから、俺ボコられるんじゃねぇの?だから逃げないとって、」

「ちなみに誰に?」

「碧。」

「え?僕?」

「っくくく!傑作!」


ちょっと待て。けれど、時間は待ってくれない。

って、知ってるよ!それくらい!

誰だよナレーションみたいなの書いてるやつ!出てこいッ!


「葵兄、きっとどこかで頭でも打っておかしくなっちゃったんだね…」

悲しそうな顔でぽつりと言う碧。

いや、俺お前に殴られたんだけど…。

「葵、まず、確認しようぜ。ここはどこだ?」

「はぁ?ここって職員室…」


あれ?教室?それも、結構日が傾いてる気が…。お日様がオレンジ色な気が…。


「お前今まで寝てたんだよ。」


今まで?


「今までって?」

「昼食ってからずっと」

「マジで?」

「マジで。」

「授業は?」

「終わってる。」

「じゃあ、俺5回も職員室行ってない?」

「ああ。今日は4回だな。」

「じゃ、碧。お前今日先生に呼び出しくらってない?」

「うん。当たり前でしょ?葵兄とは違うんだから。」

「ぐっ…。ということは…」

「「ということは??」」

碧と直哉の声が重なる。


そして俺は叫んだ。

「あれは夢だったのかっ!!」


その後、俺は碧に『うるさい』とすげなく言われ、思いっきり殴られた後、碧と直哉と一緒に帰宅したのだった。


==============================


道中


(なぁ葵、お前どんな夢見てたんだ?こんな可愛い弟が偽物だとかなんだとか言ってたけど)

(い、いや?別に?どうってことねぇ夢だよ!あはは…)

(でも、僕も気になるな~。葵兄、家帰ったらでいいから教えてよ!)

(あ、じゃあ碧!お前聞いたら俺にも夢の内容教えてくれよ!)

(うん!直哉兄になら全部話すよ!)


うん。 徹底的に逃げよう…。




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