第四章 降臨する神罰と龍の吐息
【第二話 第四章 あらすじ】
頭上の岩盤を一瞬で穿ち、天から叩きつけられた絶対破壊の光——『神罰の針』。
降り立った高位神ウリエルとサリエルが解き放つ絶対ゼロ度の殺意は、地底の混入者たちを逃げ場のない絶望と激痛の渦へと突き落としていく。分子レベルで消滅していく地獄絵図の中、一切の抗いを見せることなくひざまずく少女・ミナ。
彼女が大地へと身を投げ出し、その胸の鼓動を足元の深層と重ね合わせた瞬間、空間の理そのものが歪み始める。
地底の亀裂から溢れ出すのは、世界を滅ぼす破滅の炎か、それとも数億年の微睡みから解き放たれる星の意志か。
神々の絶対的な威厳をも一瞬で飲み込んでいく「圧倒的な生命の奔流」が、全宇宙の管理システムを根本から破綻させる!
圧倒的スケールで描かれる、神と星の意志が激突する激動の第四章!
ズドドドドドドドォォォォォン……ッ!!!!
地表から地下三千メートルにおよぶ分厚い岩盤を一瞬で蒸発させ、天から一本の巨大な光の柱が叩きつけられた。
天上界から投下された『神罰の針』である。
灼熱のプラズマと重力波が地下空間を吹き荒れ、龍の筋膜が悲鳴を上げて焦げ付く。
その光の柱の中心から、光の粒子で肉体を再構築したふたつの高位神——ウリエルとサリエルが降臨した。
「不浄なる寄生虫ども、そして言葉を失い腐敗した肉どもよ」
ウリエルの声が、地下空間の空気分子を直接振動させ、周囲の岩石を粉末に変えながら響き渡る。
「この星は間もなく破滅する。天上界を侵食するお前たちの不浄な魂もろとも、この古生龍の肉塊を宇宙の塵へと還元する。それが神々の下した最終精算である」
サリエルの掲げた両手から、絶対ゼロ度の殺意を孕んだ白銀の光幕が放射された。
その光幕に触れた瞬間、周囲で龍の肉を喰っていた混入者たちが、悲鳴を上げる隙すら与えられず、瞬時に分子レベルで分解されて消滅していく。
「ギャアアアアッ! 痛い! 熱い! 助けてくれぇぇぇっ!」
狂乱していた混入者たちは、知性と欲望を残していたが故に、神の光線から受ける苦痛を100%知覚し、地獄の苦しみの中で蒸発していった。
やがて、その破壊の光幕は、四つ足で佇むミナたちへと迫った。
しかし、ミナは逃げなかった。
神々に敵意を向けることすら、彼女の意識の中には存在しない。
ミナはただ、足元の真っ赤に脈打つ龍の筋膜の上に静かにひざまずき、四つ足で深く頭を垂れると、その胸を大地へと密着させた。
ミナの小さな心拍が、星の脈動と完全に重なり合う。
ドクン……!!
その瞬間、地下三千メートル全体が、劇的な「ひとつの脈動」によって揺れ動いた。
ミナという「完全に自己を捨て、星の肉と一つになった存在」を媒介にして、数億年のあいだ睡魔の底で微睡んでいた古生龍の意識が、ついに覚醒の輪郭を見せたのだ。
龍の背の上で繰り広げられるすべての営み。
神々の冷酷な光も、混入者たちの醜い欲望も、そしてミナたちの静かな存在も。
龍にとっては、自らの皮膚の上で蠢く、愛おしくも儚い「生命の揺らめき」に過ぎなかった。
地底の亀裂から溢れ出したのは、世界を滅ぼす破壊の炎ではなかった。
それは、数億年の眠りから解き放たれた龍の、あたたかな**「生の吐息」**であった。
「な……何だ、この異様なエネルギー値は……!? 龍の呼吸が……神罰の光幕を相殺している!?」
サリエルが悲鳴のような声を上げた。
神々が放った絶対の破壊光線が、龍から吹き出す圧倒的な生命力の奔流によって、春の陽気に溶ける薄氷のように、呆気なくかき消されていく。
「ウリエル様! 撤退を……! 龍の意識が天上界へ逆流してきます!」
「不可能な……! 神々が……下等な肉塊に……ッ!」
ウリエルの叫びも虚しく、龍の温かな吐息は地底の亀裂を駆け登り、天上界へと繋がる光の回廊を一瞬で呑み込んでいった。
神々が「管理すべき果樹園」として見下していた地球。
その正体である超絶規模の古生龍が、ただ深く「息を吸い、吐いた」それだけで、天上界の無機質な回廊も、神々の冷酷な管理システムも、すべてはやさしい光の露となって宇宙の中へ分解されていった。
天上界は消滅した。
神という概念も、人間というバグも、混入者という醜悪も、すべてが星の命の底へと溶けて消えたのだ。




