チート撮影タイム
またここに来た。やはり本当に就職したのだと実感する。
…帰ったら母にこのことを話しておくか。
そんな決心をしながらビルに入った。4日目ではあるが、またもあの男は同じ位置にいて私に話しかけた。
「今日、放映部署で仕事をお願いしますね。それと明日は、あの場所…見えますか?あそこの部屋に来てください。時間は9:00でね。じゃあ今日も頑張ってくれ」
たしかあの部屋だったな、と思いながら放映部署の一室へ入り込んだ。今日の私は戦闘場所を映すのが仕事だ。この仕事に危険はない、生き返る以前に死なない最強の防護を持って行動するのだから。無敵の防御服を着て、回生部署で使った転送で戦地に立ち、カメラを向ける。安全なんてレベルじゃない、こんなもの昨日と比べればへでもない。
早速私のもとへPiと一通の連絡が入る。私はその服のままカメラを持って座標を選択し、自分自身を転送した。あとは簡単だ。喋らずに戦闘をカメラで追うだけだ。できるだけ仕事をさぼるために戦闘を長引けと願う20分。先輩方が言うにはこれでも長い方だったらしい。
戦闘中継が終わり、私は先輩に怒られないため、防御服に搭載されている転送機能で部署部屋まで帰った。
室内に戻り、コーヒー片手に椅子へ座り込むとまたPiと通知が来た。そして通知が来た以上、無視することはできない。
淹れたてのホットコーヒー…淹れたて…ホット…
腹をくくってコーヒーを机上へ。座標を選択してカメラを携えて転送。
早く終われ早く終われと、今度は先ほどと逆の思いを胸にカメラを向けた。目の前の悪はコンビニで籠城、正義は突入をするしないでカマをかける。その情景にいろいろと言いたいことはあったが、それでも言葉を出すことは許されない。息を呑んで、内なるせっかちを抑え、カメラを持って見守る。
幾らか時間が経ち、カメラを持っている腕が疲れてきた。一向に動かない盤面、どちらを映しても映えない映像、冷め続けているであろうコーヒー。そこには楽しさも面白さもない。もはや昨日のほうが良かったのかもしれないと思った矢先、突然正義側の人間が動いた。
「あぁ!もう面倒だ!!!時間がもったいない!突入する!」
拡声器なしでそう言って、高速で動きコンビニの窓を割って、悪側の人間を容赦なく直接叩いた。籠城していた彼女は店員を人質に取っていたが、管理は甘く人質無傷で余裕の一発KO。その場は悪側の負けで締められた。
私は腕がヘロヘロの状態で部屋に帰り、時間を確認した。経過したのは3時間。私の腕の耐久がもったことを褒めてほしい時間だった。今日の仕事はこれで最後だった。
冷めきったコーヒーを飲み干し、もう一杯のコーヒーを淹れる。あとはアイマスクをつけて仮眠をし、残りの4時間をつぶした。起きた頃に気付いたことはコーヒーを飲むことを忘れていたことだった。
またしても冷めてしまったコーヒーを飲み、私は家へ帰った。今日の決心通り、母に就職の話をしたのだが、信じてもらえなかったので、私は未だ無職だと思われているのだろう。
読んでいただきありがとうございます!!
サボらずに投稿できましたが、日が変わってるのでほぼアウトじゃないですか…
まだ6話、安心できますね。




