待遇改善?
睡眠時間はみじかかったけれど、すっきりとしたマインドのおかげで私はぐっすりと眠ることができた。
それでも、目が覚めれば思い出した。スマートフォン導入を頑なに拒否した理由、それを賀時が答えていないことを。
私はこれでも節度を弁える人間だ、仕事の手を止めてまで賀時へ答えを聞くほど馬鹿じゃない。
とりあえず仕事をそつなくこなし、お昼休憩になった。ここで聞きに行くのは違うと私は思い、このタイミングをスルーして昼食を買いに行った。昼食はおにぎり二つと揚げ物一つ、食事スペースで口に入れた。
午後の仕事は部署内の会議だったが、内容は上の空でほとんど覚えていない。
とうとう定時になり、私は早速賀時へ連絡をする。
[昨日の話の続きを聞かせてください、あの場所で待っています。]
そうして私は一階の隅、そこで何度話したのかも覚えていない部屋で座して待った。2分して、少し怖くなった。あんなことを言ったが、もし賀時が来なければ虚しい時間を過ごすだけになってしまう。それでもいいだろうと思ったが、一刻も早く家へ帰りたいという気持ちが鬩ぎ合い、やはり不安が勝ってしまっていた。
帰ろうとも考えたが、自身で言い出した以上それはできなかった。
莫大な不安に襲われながらも、私は座り続けた。それから待つこと30分、部屋の前に誰かが居る気配を感じるのだが、入っては来ない。そしてその3分後、外の気配が動いた。扉を開け、部屋に入ってきた。
「今から私が言う言葉を聞けば、あなたは今の部署に帰ることは難しくなる、それに国の犬にもなってもらう。それでも、それでも理由を聞きたいのですか?」
「…」
今の部署は自分に合っていると感じている。先輩は優しいし、楽しくて話も合う。不満もない、他国へ行けて楽しい。それに国の犬という言葉は私を気後れさせた。
私は躊躇った。こんなにも言われると踏み込む勇気が出なくなる。私は一つ問うた。
「自分自身の時間は今と比べてどっちが多いですか?」
「今よりは多くなる。それだけは言える。疲労は増加するけどね。」
その言葉はさっきと違い、私を後押しした。
「覚悟が決まりました。理由を聞かせてください!」
彼は椅子に座って「ふぅ」と息を吐いて話し始めた。
「私はスマートフォンの存在と役割を知っています。だからこそ、スマートフォンは導入できません。まず、この国の経済は映像輸出で成り立っているのは知っていますね?ここで動画を撮られてSNSにでも投稿されれば、瀧見はたちまち衰退してしまう。これが一つ目の理由。それに、ゲーム、つまり娯楽が手元でできる、そんなことをすれば正義と悪の戦いが行われなくなってしまうだろう、そうすればやはり国の経済は終わってしまう。そもそもこの国では情報統制をしている。理由は単純で、他国に民が流れれば困るからだ。いったん話そうと思ったのはこの程度だ。さぁ、聞いたからには異動してもらおう。8時間勤務で完全週休4日を約束しますね。」
読んでいただきありがとうございます!!!!
むしろ30話もいらなそう…
予め言っておくと明日はサボる予定です。




