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ダンジョン暮らしは火竜少女と共に  作者: アレセイア
第一章

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第12話 戦後処理

「いろいろとご迷惑をおかけしました。カイト様」


 襲撃があった夜――寝室としている石室で、カイトはフィアと少し話をしていた。改まって頭を下げる彼女に、カイトは首を振って小さく笑いかける。


「大丈夫だ。結果的に迎撃に成功し、ダンジョンコアを守り切ることができた」


 あの後、残った侵入者もフィアが完全に無力化し、カイトはそれらを供養した。

 その際に武装を確かめたが、見たこともない金属を使用されていて驚かされた。フィアの炎を当ててみたが、それでも溶けることがなかった。


(この世界にはいろんな武器、魔術があるんだろうな……油断はできない)


 特に恐ろしいのは初日に見た魔術のような攻撃だ。

 そんな攻撃を喰らえば、防御陣地もすぐ崩壊しかねない。いろいろと考えて今後、戦術を立てなければならないと痛感させられた。


(とはいえ、防衛には無事成功したし)


 一部の装備以外は侵入者の亡骸共々、コアに捧げたことで、かなりの魔力を得ることに成功した。結果的に考えれば、ダンジョンの強化に繋がっている。

 今後の課題は意識しなければならないが、今はそれを喜ぶべきだろう。

 カイトはフィアに向き直り、労うべく口を開いた。


「改めてありがとう。フィア――本当にいい働きだった」

「ありがたきお言葉です。ただ、失態もあったのは事実ですので、今後の働きでそれを挽回していきたいと思います」


 カイトの言葉にフィアはきりりと表情を引き締める。それにカイトは思わず苦笑をこぼし、軽く首を振った。


「失態というなら、今回の僕の動きもミスがあったよ」

「いえっ、そんなことないと思いますけど……」


 背筋を伸ばし、ぶんぶんと首を振るフィアを制し、カイトは淡々と言う。


「いいや。考えてみると、焦ってフィアを呼び戻したのは下策だった」


 あのときは守らないと、という意識で焦って呼び戻してしまったが。

 考えてみれば、彼らはただ通行中であり、ダンジョンを見つけてはいなかった。魔術師もいないことは分かっていたのだから、もう少し様子を見ても良かったのだ。


「あそこで上策だったのは、フィアとキキーモラたちに隠れてもらうこと。それでダンジョンが見つからなければ良し」

「でも、もし見つかっていたら――?」

「そのときは、こちら側と外側から挟み撃ちできるだろう?」


 カイトの言葉に、あっ、とフィアは息を呑んだ。彼は微笑みかけながら、軽く肩を落として小さく息をつく。


「あの土塁は重装備ではそうそう突破できない。その間にフィアが追いつけば、レムとフィアで挟撃できた。それが一番の最適解だっただろうな」

「で、でも、それは今だから言えることであって、その、その……っ」


 フィアがわたわたと手を振り、何とか慰めようと言葉を重ねてくれる。それを愛おしく思いながら、カイトは小さく笑って頷いた。


「うん、これは今振り返ってのこと。だから、次に生かせばいいんだ。お互いにね」

「……はい、そうですね。一緒に頑張っていきましょう。カイト様」


 フィアは胸の前で拳を握り、意気込んでくれる。カイトは頷きながら笑いかける。


「ああ、期待している。フィア」


 そう告げると彼女は嬉しそうに瞳を輝かせ――そして、上目遣いで少し距離を詰めてくる。頭を差し出し、どこか物欲しげな仕草にカイトは目を細めて、手を伸ばす。

 彼女の頭に手を置き、柔らかな髪の毛をそっと撫でると、彼女は表情を蕩けさせて甘えるようにカイトの胸板に身体を預けてくれる。撫で続ければ、満足げな吐息と共に彼女は身体から力を抜いた。


(……本当に、かわいい子だな)


 彼女と出会って一か月足らず。だが、カイトの心はフィアに少しずつ惹かれていた。そんな彼女のいろんな表情を見たい――そう思うほどに。

 だから、カイトは翌日にあることを試してみようと、心に決める。


「――フィア、明日も楽しみだな」

「はい、カイト様と過ごす毎日が楽しみです」


 フィアの緩んだ声にカイトは微笑みながら、その髪の毛を撫で続ける。

 明日、彼女がどんな表情を見せるのか、想像を膨らませながら――。

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