表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/51

第47話 聖女、こたつで告白される!?――“恋人たちの夜と永遠のぬくもり”

夜。

こたつの中で、私は紅茶をすすっていた。

昼間に歩き回ったせいで、足の先までじんわり疲れている。


「……あ~、やっぱりこたつって偉大。」

「はい。外でどれだけ出かけても、最後はここに戻ってきますね。」

「なんかそれ、人生の真理みたいに言うのやめて?」

「真理ですよ。人はこたつから生まれ、こたつに還ります。」

「それ信仰になりそうで怖いなぁ……」


私は笑いながらカップを置いた。

こたつの熱で頬がほんのり赤い。

外の雪の冷気が遠くに感じられるほど、部屋の中は温かかった。


◇ ◇ ◇


「ねぇ、ユウヒくん。」

「はい。」

「今日、楽しかったね。」

「僕もです。真由さんの笑顔がたくさん見られました。」

「……君、恋人力上がってるよね。」

「恋人力、ですか?」

「うん。甘やかしスキルが上級職レベル。」

「それは……真由さん専用スキルです。」

「……っ!」


(ほんと、どこでそんな台詞覚えてくるの……)


◇ ◇ ◇


ふと、静寂が降りた。

外では雪がさらさらと舞い、

その白がこたつの灯りに溶けていく。


「ねぇ、ユウヒくん。」

「はい。」

「私ね、異世界に来てから、ずっと考えてたんだ。」

「何を、ですか?」

「“私がここにいる意味”。」


私はこたつの縁に指をなぞりながら、

ゆっくりと続けた。


「最初は、聖女とか召喚とか言われてもピンとこなかった。

 でも、君と一緒にいて……少しずつわかった気がするの。」


「わかったこと?」

「うん。

 私、世界を救うために来たんじゃなくて――

 “誰かを幸せにするために来た”のかもしれない。」


「……それは、僕のことでしょうか。」

「……たぶん、そう。」


沈黙。

でも、心地いい沈黙だった。


ユウヒは目を伏せ、そしてまっすぐこちらを見た。


「真由さん。」

「ん?」

「僕も、伝えたいことがあります。」

「なに?」


彼の手が、こたつの中で私の指に触れる。

その瞬間、鼓動が速くなった。


「――僕は、あなたを愛しています。」


「……えっ、え、いきなり!?」

「いきなりじゃありません。ずっと思っていました。」

「ずっとって……どのくらい?」

「召喚されたあの日から、です。」

「え、早っ!?」

「一目惚れでした。」

「真顔で言うのやめて!?」


……でも、心臓がバクバクして、

何も言い返せなかった。


◇ ◇ ◇


「僕は、聖女としてのあなたも、

 ぐうたらなあなたも、全部大切なんです。」

「……もう、ずるいよ。」

「え?」

「そんなこと言われたら、好きが溢れて止まらなくなるじゃん。」


私はそっと、彼の手を握った。


「ねぇ、ユウヒくん。」

「はい。」

「私も、君が好き。

 “聖女だから”とか、“守ってくれるから”じゃなくて――

 ただ君といると、安心する。」


ユウヒが、少し息をのんだ。

そして、ゆっくり笑った。


「……真由さん。」

「ん?」

「ひとつ、お願いがあるんです。」

「なに?」

「“さん”を取って呼ばせてください。」

「……えっ。」


「あなたを、恋人として呼びたいんです。」


息が止まる。

心臓が、こたつよりも熱くなる。


「……いいよ。」

「……真由。」


その声は、

まるで祈りのようにやさしかった。


◇ ◇ ◇


「……ねぇ、ユウヒ。」

「はい。」

「名前呼び、思ったより破壊力あるね。」

「僕の方こそ、照れてしまって……」

「もう、可愛いってば。」


笑い合いながら、

ふたりの手がまた重なる。


――そして、唇がそっと触れ合った。


雪の音が遠のいていく。

世界が静かに包まれ、

こたつの熱と恋のぬくもりが溶け合っていった。


◇ ◇ ◇


「……ねぇ、ユウヒ。」

「はい。」

「明日も、同じ時間に、同じこたつで。」

「もちろんです。」

「じゃあそれが、私たちの約束ね。」


――この世界に、

たったひとつの“やすらぎの誓い”が生まれた夜だった。


次回予告


第48話 「聖女、プロポーズされる!?――“神殿の夜と永遠の誓い”」

――お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ