表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/51

第42話 聖女、恋人バレる!?――“神殿騒然!祝福と大混乱”

朝。

いつものようにこたつでお茶を飲んでいた真由とユウヒ。

外は雪。

中は天国。


「ねぇユウヒくん、今日の予定は?」

「午前は祈祷、午後は会議……あ、あと――」

「あと?」

「神殿長から“お話があります”との伝言が……」

「……え、それ完全にやばいやつじゃん。」

「僕も、そう思います。」


◇ ◇ ◇


神殿長――セレニア聖堂を統べる初老の神官、

温厚で知られているが、“信仰”に関しては絶対主義者。


真由とユウヒが謁見室に入ると、

部屋の空気がピンと張りつめていた。


「……聖女殿。」

「は、はいっ。」

「“こたつ教”の布教活動と“果実の奇跡”までは良かった。」

「はい。」

「だが――最近、“聖女が恋に落ちた”との噂が流れておる。」

「……」

「どういうことか、説明してもらえるかな?」


沈黙。

真由はちらりとユウヒを見る。

ユウヒは眉を下げ、でもその瞳は真っ直ぐだった。


「……事実です。」


謁見室の空気が、一瞬で凍りつく。


「なっ……!? おぬし、何を――!」

「真由さんを、心からお慕いしています。」

「ユウヒくん!?」


(ちょ、ここで正直に言っちゃう!?)


神殿長の眉が跳ね上がった。


「神に仕える身が、“恋”などと――!」

「――神は愛です。」


静かに、真由が口を開いた。


「愛も信仰も、あったかい気持ちから生まれるものでしょう?

 だったら、恋だって立派な信仰の一部だと思います。」


神殿長が言葉を失う。


「私は、世界を救う聖女なんかじゃない。

 でも――彼と一緒なら、誰かを癒せると思うんです。」


その声は穏やかで、けれど強かった。


沈黙ののち、神殿長はため息をついた。


「……まったく、君という人は……」


「す、すみません!」

「ふむ。では、こうしよう。」


神殿長は軽く頬をゆるめた。


「聖女と神官の恋など、確かに例はない。

 だが、“信仰の形”がひとつとは限らぬ。」


「……!」


「公にすれば騒ぎになる。

 だが、神はきっと微笑んでおられるだろう。

 ――つまり、条件付きで認めよう。」


◇ ◇ ◇


神殿の外。

ふたりは深々と頭を下げたあと、廊下に出た。


「……な、なんとか許されたね……」

「はい……でも、“条件付き”って気になりますね。」

「条件って?」


――その時。


廊下の奥から、信徒たちの声が響いた。


「見て! 聖女さまが恋をされたんだって!」

「尊い……っ! これぞ“神の愛”の具現化!」

「恋愛成就の加護が始まったって噂よ!」


……すでに神殿は祭りだった。


「条件:隠す努力をする」

「……うん、無理だったね。」

「はい……無理でしたね。」


◇ ◇ ◇


午後。


聖女堂の前には、

「聖女の恋を祝福する祈り会」なるものが自然発生していた。

花束、恋愛守り、こたつ型奉納品。


「えぇ……なにこれ……」

「“聖女恋愛祈願週間”だそうです。」

「早っ! 組織力すごっ!」

「さすが信徒たちですね。愛の伝播が早い……!」


ユウヒが小声で笑った。

真由も呆れ半分、でも嬉しそうに微笑む。


「……ねぇ、ユウヒくん。」

「はい。」

「私たちの恋、もう隠せないね。」

「もとより、隠すつもりなどありません。」

「……やっぱり、君は正直者だね。」


真由が笑って彼の肩に頭を寄せる。

その瞬間――聖堂の鐘が鳴った。


「――神は、愛に微笑む!」


信徒たちの歓声が、雪空に響いた。


◇ ◇ ◇


夜。

こたつの中。


「……今日、一日で世界の見方変わったなぁ。」

「はい。神殿全体が“恋人モード”でしたね。」

「でも、悪くないよ。」

「え?」

「君を好きになって、みんなが幸せになるなら、

 それも、聖女の仕事って気がする。」


「……真由さん。」


「だからこれからも、いっぱい甘やかしてね?」

「……はい。神に誓って。」


こたつのぬくもりの中、

二人の指が絡み合う。


外の雪が静かに降り続く夜、

神殿には“愛の奇跡”が灯っていた。


次回予告


第43話 「聖女、恋の奇跡を起こす――“祈りよりもキスの方が効く!?”」

――お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ