クラゲカレー
カレーを何にかけて(つけて)食べる?
そんなネットでの質問に、多くの回答が寄せられた。
『白ごはん』という答えが一番多かったが、中には次のような答えもあった。
『サフランライス』
『ナン』
『チャパティー』
『うどん』
『そうめん』
『スパゲッティー』
『ピザ』
『顔』
『キャベツ』
『猫』
『紙』
『クラゲ』
「クラゲ!?」
私は思わずその文字を見て声をあげた。
それは数多くの回答の中で一際異色を放っていた。
私はスキルを駆使してクラゲさんの住所を突き止めると、アンタビューに乗り出した。
クラゲさんは昔海で溺れた女性の霊だった。
「カレーが好きでねェ……、今でもあの味が忘れられないんですよ」
ぷよぷよととろけた顔を懐かしそうに笑わせて、クラゲさんは続けた。
「でもほら、海の中には白ごはんがないでしょう? だから……」
「なるほど。クラゲにかけるしかないわけですね?」
マイクを向けながら、私はさらに気になったことを聞いてみた。
「ところでクラゲにかけるカレーはどうなさってるんですか?」
「ククク……」
クラゲさんが、笑った。
「それはおまえだあっ!」
クラゲさんに襲いかかられ、私は引き裂かれ、カレーとなった。
なるほど。水の中でカレーを得るにはこうするしかないわけか。
私はおいしいカレーになり、漁師さんに網で引き上げられると、レトルトカレーとして商品化された。
しかし人間どもは私を白ごはんにかけて食べるのだろう。
クラゲにかけるしかないあのひとの気持ちを思うと、涙が抑えられなかった。
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