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―――― 匠平視点 ――――


あの日、何があったのか圭子に言いつけてやると淳子が脅してきたあの日とは……

妻が娘を連れて実家から戻って来た前日のことになる。


淳子に頼まれて電球を替えるため、彼女の部屋を訪れた日のこと。



翌日帰宅した妻の顔を見ると何とも言えない気持ちになった。


前日のことを圭子に話しておくべきか、否か。

あの直後から、困ったことになったという思いは消えず、随分と悩んだ。


だが、男の自分が小泉淳子(こいずみあつこ)を襲うことはあっても、

淳子から自分(匠平)が襲われたなどと誰が信じるだろうか。


ちゃんと説明したとして、最後まで落ち着いて俺の話を妻は聞いてくれるだろうか。


説明の途中の事象に触れた時点で早合点をし、興奮してしまうおそれがあり、

そもそもちゃんと公平にジャッジできる状態で聞けるだろうか。


予測されるのは俺への非難ばかりになりそうで、それを鑑みてみると、

とても話す気にはなれなかった。


ひとまずは淳子の様子見してからでも遅くないかもしれないと考え、妻に話すことは

なんとか踏みとどまっていたわけだが。



相手(淳子)を宥めるために彼女の家へ出向くというのは、一番の悪手(あくしゅ)に違いないことは、明らかだ。



……となると、どちらにせよ遅かれ早かれ圭子の耳にあの日のことが

入ってしまうだろう。


黙っていればそれこそ、あの女(淳子)にどんなふうに話をされるか

たまったものではない。


近日中に折を見て自分から圭子にことの顛末を話すしかないだろう。

そう、匠平は腹を括った。




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