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56 最終話  そして57 番外編へと


*.✿.愛してる……とても.✿.*


その夜は娘を義母に預けたまま帰宅したので久しぶりにふたりきりの夜を

過ごすことになった。


寝室でどうしてだか、圭子は匠平に質問したくなってしまった。


それは計画していたというわけではなかった。

ただなんとなく……というものだった。



匠ちゃん、質問~。

久しぶりに『匠ちゃん』と呼ばれ、匠平はうれしくなった。


「うん?」


「あのね、私があなた以外の誰かと性交渉持ったとしたらどうする?」


「俺への腹いせからだとか、相手の男を好きになったからだとかであっても、俺は君が俺のところへ戻ってくれるなら君の事を受け入れるよ」


「じゃあ、その相手とこの先も関係を続けると言ったら?」


「本当はそんなこと受け入れたくはないが、それでもいい。

俺には君が必要なんだ。絶対別れたくない」


「バカじゃないの」


「ふっ、俺は前からバカだよ」


「軽々しくよその女とヤルような人は好きになれない。

はっきり言うね。気持ち悪くて嫌いなのよ」


「それでもずっと君と娘の側にいたいんだ」


俺は圭子に散々な物言いをされても、全部飲み込んだ。




だがここまで踏み込んだ話をしてくるということは、もう駄目なんだろうか。


頑張って耐えているけど、もう駄目なんだろうなぁ。


専業主婦であまり丈夫ではない実母を抱え、その上、経済的基盤もなくて

俯くしかなかった圭子だが、あのあと将来の見通しを立てその見通しが叶った今、自分(匠平)が淳子とのことを告白した日に言いたかった言葉(本心)を吐露しているのだ。



今度は俺の番だった。


俺は馬鹿と言われ気持ち悪いとまで言われその上嫌いだとも言われて散々だ。


返す言葉もなく、ベッドの上で俯くだけの自分。



ドアの側に立っている圭子が、こちらに近づいて来るのが気配で分かる。


まさか! 愚弄された上に平手打ちでもされるのだろうか。


今の彼女は無敵だからなぁ。

今ベッドに腰掛けている状態だから腰と両足に力を入れて踏ん張っておかないと。


『かかってこいやー』

と相手が野郎なら挑発するところだが


『かかって来ないでくださいね~ヒィ~』

がこの時の俺の心情だった。



目を瞑った瞬間、平手打ちの代わりに振り下ろされたのは……。


        *******.✿..✿.*******


振り下ろされたはずの圭子の手は俺の背中に回され、俺は強く抱きしめられて

いた。そして耳元で囁かれた言葉。



「何でそんなに下手(したて)なの……。何でそんなに甘やかすの……」


そして俺も囁き返した。


「すごく愛してるからだよ……きっと」



自分が考えていたほど彼女は俺に対して悪感情を持っていなかったようだ。



ほっとした俺は、彼女の気持ちを更にほぐすための甘い言葉を囁き続け

この夜、全身全霊を込め、圭子とのMaking Loveの旅に出たのだった。




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