表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/57

47

47


それから小一時間ほどして北村さんと一緒に松尾さんが店から出たあとで、

私は呟いた。


『何とかセーフ!』


松尾さんから『淳子さんの印象はどう?』などと、訊かれずに済んだからだ。


できれば、密告するようなことはしたくない。

興信所がいい仕事をしてくれることを祈るばかりだ。


            ******


松尾の話に驚かされて心拍数が上がってしまったり、また彼に対する心配も

あったのだが、しっかりとした両親がついていて何とかなりそうな道筋も見え、

圭子はほっと胸を撫で下ろした。


だが……運命はその後、更なる難題を圭子の元へと運んでくるのだった。


            ******



松尾から淳子との結婚話を聞かされた数日後のこと、1通のメールが届く。

その内容とは……。


『お久しぶりです。先日は松尾さんがお世話になったみたいで……』

まるでもう松尾の妻にでもなったような気でいる文面を読み、圭子は

軽くめまいがした。



『私たちの結婚を反対しているわけじゃないけど彼のご両親が用心深くて、

私のことを調査すると彼に勧めているらしくて困ってるの。


どこの誰とも分からない調査員にいろんなところに出向かれて根掘り葉掘り

聞かれたりして調べられるなんて私、気持ち悪くって……』



叩けば埃の(素行の悪さが)出てくる身だからね、そりゃあ嫌でしょうよ。


だけど、松尾さんが意外にもこんなに間抜けだったなんて……。


圭子は呆れて手を額に当て(天井)を仰いだ。


そう、淳子が調査されることを知ってるってことは、そういうこと。

松尾が彼女に知らせたからに他ならない。


「もう、松尾さんったら何考えてるの。

これじゃあご両親の思惑に反するじゃない」


こんなことになるなんて……全くぅ~。


松尾の思慮が足りず浅はかな行いに辟易し、恨みたくなる圭子だった。



『だから、圭子ちゃん私の事を学生時代からの友人で悪い人間じゃないって

ことを彼と彼のご両親の前で証言してくれないかな。宜しくお願いします』


と文面は続いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ