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「加納さんって、あまり普段こういうお店にはいらっしゃらない……とか?」


「ええ、そうですね」


「ふふふっ、そうですよね。

めちゃくちゃ慣れてる稲岡さんとあんまり雰囲気が違いますものね」


年かさの季々というホステスが俺にそんな質問を投げかけてきた。


「ああ、加納はね、学生時代からの友達で職場はまるっきり違うんだ。

俺とはね(・・・・)


「じゃあ、あまり私たちのようないい女とはご縁がないのね~」

しれっと、その場を盛り上げるような、壊すような? 物言いを彼女がする。



「まぁね、季々さんのような素敵なお姉さまとは縁がないかもしれないけど、

こいつにはね、ちゃんと恋女房がいるんですよっ、淋しい俺と違って」


「えーっ、加納さん、既婚者なのぉ~? 愛理、つまんないっ」

目の前でリップサービスに勤しむ愛理というホステス。


俺はその愛理やら季々というホステスやら果ては稲岡にも向けて、なんだか

なぁ~、この不毛な時間が人生の潤いとは感じられず1人心の奥底で白けて

いた。


そしてしみじみと思った。


稲岡も自分も、天の采配で各々に適している職場へと導いてくれたのだと。


もしも、俺が稲岡の職場に就職していたとすれば、おそらく半年と

持たなかったのではないだろうか。


逆に稲岡はどうだろう……。


会社の接待はなくとも、同僚たちと夜の街に繰り出していそうだなと思った。


まぁ、あくまでも想像上のことで、奴の深層心理までは理解できてないかも

しれないので本当のところは分からないが。



2時間ほど粘ったところで俺は稲岡を促してお開きにした。




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