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―――― 圭子視点 ――――


◇困惑


困ったことになったと、私は思った。


あの告白の日からも実家に泊まりで帰ったりしているから毎晩というわけでも

ないけれど、夫とはぼ毎日のように一緒に寝ていて、違和感を感じることも

なかったというのに。



でも、肩に手をかけられただけで今夜、私は吐き気を催してしまった。



今夜、誘われるという行為がトリガーとなってしまったかもしれない。


この先も夫から身体のどこかに触れられるだけで、またきっと私は嘔吐して

しまうのではないか、そんな恐怖に襲われる。これってどういうこと? 


気持ちは許したいと思っていて、以前のような仲睦まじい二人に

戻りたいのに……。



        ◇ ◇ ◇ ◇


更に時間を経て夫から誘われた時のこと。


「あれからどう? 少しは気持ち落ち着いてきた?」


「待って。私の話を聞いてほしいの」


「いいよ、聞く……ょ?」


「あれからずっと自分の身体と気持ちに向き合ってきて、

分かったことがあるの。


淳子さんは、スマートで胸の大きさも申し分なく色っぽい身体を持っていて

顔だって美人さんで、そんな人をその目で見て官能をくすぐられ反応した

あなたにそして淳子さんに、私は劣等感でいっぱいなの。


もうとてもあなたと性交渉は持てない。

彼女と比べられるかと思うと自信がない」




「そんな……。比べたりなんかしないよ。

彼女、見た目は確かに美人かもしれないけど、俺には圭子のほうが

魅力的で比べようもない。嘘じゃない。


俺が愛してるのは君だけだよ、信じてほしい。

大丈夫、気長に待つよ。俺は大丈夫、待てるから」



「ごめんなさい……」


確かに自分に自信を無くしてしまったというのも本当なのだが……。

私には夫に伝えられないことが1つあった。


『あなたに身体を触られると吐き気がして、気持ちが悪くなるの』

という正直に吐き出してしまうと、夫婦関係が崩壊してしまうほどの

とても酷い言葉。



夫のことは、今も好きなのだ。


それなのに身体が真逆の反応をするから困る。



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