11話 県大会開幕!
厳しい残暑も落ち着いて、十月を迎えた。
人間にとっては運動するのに丁度よく、猫にとっては過ごしやすいこの時節。
アンダー18、3x3ねこバスケットボール県大会の幕が開いた。
十六のチームが参加。
テリトリーを二つに分けたトーナメント戦で競い、AクラウダーとBクラウダー、それぞれのトップが東日本エリア大会進出となる。
その会場は、都会から遠く離れた山の中腹にある歴史の深い夏梅神社が選ばれた。
むかしむかし。
この土地では、金色に毛を染めた一匹の猫が鬼に変化し、か弱い幼子を脅かしてはイタズラばかりしていた。
困った村人たちはマタタビを使って誘い出すと、酔っ払っている猫の首に魔除けの鈴を付けて妖しい力を封印した。
村人はそれでも畏れて食物を捧げることにした。
猫鬼はその後、天寿を全うするまで静かに村で暮らしたそうだ。
それから時は流れて、多くの幼子が奇病に苦しんだ災いの年が訪れた。
村人達は、すがる思いで猫鬼を神として祀り救いを祈願した。
すると天晴れ。
幼子たちの命は確かに救われたのだった。
間もなく、彼の墓地はナツノウメ神社へと変化した、という伝説が残る。
さて、話を戻そう。
その境内に人工芝生を敷いて、ねこバスケ用ハーフコートが二つ設置された。
3x3ねこバスケは普通のバスケットボールとは違い、コートが狭いので、観客達は目と鼻の先という間近で迫力ある試合を楽しむことができる。
そして、DJのかける音楽がハートを昂らせ、MCの解説がムードを盛り上げるのだ。