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森の中

 生まれつき目が見えない。


 そんな少女は、魔物が跋扈する森でフェルに拾われた。


 少女を拾った日から、フェルは彼女にあらゆることを詰め込んでいった。


 言語、武術、魔術、数学、歴史。


 そして、見えなくても生きていけるよう、気配の読み方も。


 そのおかげか、今では文字は読めないながらも、少女は特に問題なく生活できるようになっていた。


 しかし、少女とフェルが出会ってから長い時が過ぎた頃。


 今まで続いていた日常が、突然崩れ去った。


 フェルが、その姿を消したことによって。


 何日経っても、一ヶ月経っても、フェルが姿を現すことはなかった。


 約半月が過ぎた今日、少女はついに森を出ることを決意する。


 フェルに貰った魔法が付与された鞄と1本の長剣を携え、少女は森の出口を目指し歩き出した。



 ――森を出て、フェルを探すために。



 森を歩いてしばらくすると、茂みから葉が揺れる音が聞こえた。


 少女はいつものように感覚を研ぎ澄ませ、剣の柄に手を添えた。肩からは青く長い髪が垂れ落ちる。


「この匂い……」


 深く、濃く染み付いた、独特な血の匂い。


 ブラッドベアー。


 ブラッドベアーは血が染みた毛に覆われており、その血に触れると肌が爛れ落ちてしまう。


 昔はよく少女もその血を被ってしまい、フェルに治してもらっていた。


「グオオオオオオ!」


 ブラッドベアーが雄叫びを上げ少女目掛け走り出す。


 その声を聞いた少女は、不敵に笑った。


「昔はよくわたしも泣いたんだよ? ――その血でね」


「ガッ・・・!?」


 ブラッドベアーの首に、少女が振るった剣が通り、その瞬間ブラッドベアーの頭が宙を舞う。


 血が噴き出し降ってくる前に、少女は瞬時にその場を離脱し、ブラッドベアーから距離を取った。


「よいしょっと」


 そして少女は血の付いた剣を投げ、それはブラッドベアーの体に突き刺さった。


 ブラッドベアーは、体だけになってもしばらく動き続けることがある。


 なので追撃し確実に倒す、そう少女は教わっていたからだ。


 少女はブラッドベアーに近づき、足で死体を押さえ付けながら剣を引き抜く。


 そして剣に付いた血を振り払い、ゆっくり鞘に納めた。


「行くならアリシア王国かな。自由に動けてお金が手に入るのはー・・・・・・冒険者か」


 少女、ノアはそう口にすると、ニコッと笑みを浮かべ、また歩き出すのだった。

はじめまして!

作者の天羽(てんば)ロウと申します。


この作品を見つけてくださり、読んでくださってありがとうございます!


初めて書いたこの作品ですが、お気軽にいいねや感想を送ってくださると嬉しいです。とても励みになっております!


誤字も読み返しても見つけられない部分もあるので、気になる点がありましたら是非ご報告ください。


挨拶はこの辺にして……。


これからノアの物語がスタートしますので、是非お付き合いいただけると嬉しいです。どうぞお楽しみください。

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