真夏の海の秘密とライブ
日も傾き薄暗くなってきたビーチに3人の人影。
ビキニ姿の女子に向かって、2人の男子が頭を下げてそれぞれ手を差し出す。
何やら必死に喋っているが内容までは聞こえない。
パク「あっ、ヒデ先輩いた!」
ヒデ「シッ!」
パク「何して……ムグッ!」
急いでヒデはパクの口を塞ぐ。
ヒデ「あれ見てみろ!」
パク「リコちゃん居たじゃないですか、早く知らせないと……って、何ですかあれ。」
ヒデ「俺も今来たところだが出て行くタイミングを失って……。」
リコをが辺りを見回し、困ったように2人の手を取って奥に消えて行く。
パク「どうしましょう、ライブあるんですけど……」
ヒデ「これは……いや、こういう形も……しかしリコちゃんそうなのかぁ……俺があそこに入りたかった……いやでも……ブツブツ。」
パク「ヒデ先輩?」
ヒデ「ん?あぁいや、こっちのこと。ライブがあること忘れるような子?リコちゃんって。」
パク「いや、違うと思いますけど……」
ヒデ「青春の邪魔しちゃ悪いし、逆のパターンなら俺でも大歓迎だけど……ここは信じて待ってみるっていうのはどう?」
パク「……まぁ、最悪順番は何とでもなりますけど。ヒデ先輩そういう趣味あるんですね。」
ヒデ「え?興味ない?」
パク「控えめに言ってとても興味がありますね。」
ヒデ パク「「……。」」
2人は秘密を共有することにした。
少し迂回してユリの元へ向かう。
パク「ユリちゃん、ごめんリコちゃん見つからないんだけど……」
ユリ「え?あ、ありがとうございます。ギリギリ帰って来て、リコちゃん今からちょうどステージです。」
2人は顔を見合わせる。
パク「心配しなくて良かったですね。」
ヒデ「あぁ、そうだよな。そう、リコちゃんはそんな子じゃないよ、うん、良かった。さすがにこの短時間じゃ無理だ。良かった。」
ユリが不思議そうな顔をする。
ユリ「何かあったんですか?」
ヒデ「いやいや、こっちのこと。ところでユリちゃんは歌わないの?」
ユリ「ヒデ先輩、私はベーシストですよ。いっぱい練習付き合ったじゃないですか。」
ヒデ「そっか、うん、そうだったよね。」
ユリ「変なのっ。パク先輩もそろそろですからね。」
パク「準備しとくよ。」
リコは何事もなかったかのように歌いステージを終える。
ライブの最後はハナ部長のギターにヒデ部長のベース(この日のためにベースを始めた)パク先輩のドラム、チップさんとサクラ先生のツインボーカルデュオで幕を下ろした。