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転生したら剣だった。  作者: 矢田 悠進
3/9

第三話

俺こと聖剣フレソディアは、嘘つき霊媒師に引っこ抜かれた。

「で、下の岩を削れば良いのか?」

「あぁそうだよ。良いよなラッキー?」

このワードとかいうダサい名前の男と二人きりでは敵わない。ラッキーも連れて行くのだ。

「わかったっす。兄貴についていくっす」

瞬間、ワードは俺を振った。

ガリッ、と音がして、ラッキーが削れる。

「いってえ!テメー、俺で削りやがったな!?」

「別に良いだろう。お前レベルの剣であれば、欠けることもないだろうし」

俺レベル?俺ってそんなにすごいのか?

「兄貴〜、というよりワードさん、拾ってほしいっす〜」

「ああ」

ワードはラッキーを拾い上げる。

「ふむ……この石は、鞘の一部として加工してもらうというのはどうだろう?」

「鞘!?兄貴を収める鞘っすか!?」

「そうだ。フレソディアも、それなら一緒にいれて良いだろう」

「うーん……そうだな。案外気が効くじゃねえか」

こうして、岩とそれに刺さる剣という俺とラッキーの関係は、鞘とそれに収まる剣へと変わった。


***


俺たちは、ワードが拠点にしているという隣町へと移動した。その街の鍛冶屋さんの手によって、ラッキーは鞘になった。流石に素材が足りないため、他の材料とラッキーの組み合わせではあるが、落ち着きのあるデザインがなかなか良い。もちろん、俺に合わせて作ってあるのでピッタリはまる。

「兄貴ー!岩時代よりおさまり良いっすね!」

「おー、そうだな。快適だぜ!」

「良かったな」

俺らを腰にぶら下げたワードがそう呟く。

「ところでよ、今度はどこに向かってんだ?」

「宿だ。もうすっかり日が暮れたからな、休むぞ」

「ほーん」

宿か。そういえば転生してからというもの、ベッドを見ていない。夜は寝てはいたが、ただ意識がなくなるというだけで、どこかに横になったりする必要は、もはやなくなっていた。それよりラッキーの中のほうが居心地良いぜ。

「そうだ、宿には俺の仲間が待っている。見て驚くなよ」

「仲間?パーティーメンバーってやつか?なあ、美少女か?俺の物語のヒロインか?」

「は?」

すんげー冷たい目で見てくるんだが。悪かったな。

「ワードさん、驚くってどういう意味っすか?変な人なんすか?」

「そうだな、とにかく見た方がはやい」

その言葉と同時に、俺たちは宿に到着した。


***


宿は3階建てだった。ワードの泊まっている部屋は、2階の一番奥だった。鍵を開けて、扉を開く。すると、どこからか可愛らしい声がした。

「あ、おかえりなさい」

女子だ!俺は神経を研ぎ澄ませ、声の主を探す。見つけた。が。

「な、何ぃ!?!?」

「だから驚くなと言ったろう」

事前にそう言われていても、驚かざるをえなかった。なぜなら、部屋の中央には少女が浮いていたのだから。

少女はふわふわと浮いたまま近づいて来て、やがて俺と目が合う。(俺に目はないが、合った気がした。)


「あなたが隣街の魔剣ね。わたしはリィラ。幽霊だけど、よろしくね」


この世界には幽霊もいるのか。

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