赤い花の木
リアは水晶の森の中で泣いていました。
また居場所を失った悲しさでいっぱいのリア。
夜になって、とうとう涙が涸れてしまいました。
リアは赤くなった目を拭い、歩き出しました。
泣くだけ泣いたら行動するのがリアです。
おばあちゃんが病気の時も、薬草を取りに行く前は泣いていました。
「おばあちゃんに謝ろう」
その一心でリアは歩きます。
急に城に行ってしまったこと。
それから連絡も何もしていなかったこと。
謝りたいことはたくさんあります。
月明かりを反射する水晶の木の間を歩いていくリア。
と、その時。
ふわりと、青い青い光が見えました。
暗い森の中の、か細い光。
幽霊かと思ったリアでしたが、光に向かって走ります。
幽霊なんていないと、おばあちゃんが言っていたからです。
だんだん近くなる光。
そこには、たくさんの水晶の木でできた、かまくらのような物がありました。
入り口に、青い光のカンテラが置いてありました。
そっと入り口から中をのぞくリア。
中には、おばあちゃんがいました。
「おばあちゃん!」
「リアなのかい!?」
驚くおばあちゃんに抱きつくリア。
「ごめんなさい、本当にごめんなさい!」
リアは謝りました。
歩いている間に頭の中で回っていたことを、全て謝りました。
その間おばあちゃんは、相槌を打ちながら聞いてくれました。
そしてリアが謝り終わったとき、おばあちゃんは言いました。
「素直に謝れるのはいいことだよ、リア。実はリアに謝らなければいけないことがあるんだよ。」
ひとり立ちできる年齢になった子供達は村に行かせたのではなく、村に奪われたこと。
けれど全員、幸せに暮らしているということ。
そして、家を追い出されたこと。
今はここ、龍の住処で暮らしていること。
「そんな……でも、みんなが幸せなら良かった!」
リアがおばあちゃんと笑いあったとき、龍が帰ってきました。
「久しぶり、それと…ごめんなさい」
「ちゃんと謝るのはいいことだ。」
龍がおばあちゃんと同じことを言うもので、おばあちゃんとリアは顔を見合わせ笑ってしまいました。
「それより、もうすぐ日の出だ。見に行かないか?」
こうして、龍とおばあちゃん、リアの3人は外に出ました。
そこに広がるものは、
「綺麗……」
いつか見た時より、もっと赤い花の木々でした。
優しく暖かく、それでいて決意させてくれるような、真っ赤な花でした。
それから3人は旅に出ます。
まだ見たことのないものを探しに。
旅をするリアの中には、あの日見た赤い花の木があるのでした。
思ったより長くなりました…
読んでいただき、本当にありがとうございます!
この後3人がどうなったかなどを想像してもらえると嬉しいです!
(良ければ評価もお願いします!)
一応、それぞれの探しものを書いておきます!
(他にもあるかも…?)
リア・薬草、居場所、見たことのないもの
おばあちゃん・龍、リア、見たことのないもの
龍・おばあちゃん、(苺ジャム)、見たことのないもの
王・食べ物、息子(王子)の結婚相手
王子・自分が結婚したい人、恋(とは何か)
教育係・恋、結婚相手
子供達・家族、居場所
こんな感じです。
探しもの……?となる物もあるかもしれませんが、気にしないのが吉です。スルーが大吉。花丸あげちゃいます。
長々と書き連ねましたが、読んでくださって本当にありがとうございました!