5/7
焦り
リアはとても幸せでした。
王子と結婚。
着るものは少し汚れたワンピースから美しく豪華なドレスに。
食べるものも、素朴なものから最高級のコース料理に。
どれも、リアにとって初めてのものでした。
けれど、次の日から教育が始まりました。
ぎゅうぎゅうとコルセットを締められて息ができない。
そんな中始まる教育。
礼儀作法やダンスなど、リアの慣れないことばかり。
それでもリアは、王子のためにも頑張りました。
「頑張ったんだね、お疲れさま」
そう言って王子が褒めてくれるからです。
けれど、リアは限界でした。
どれだけ頑張っても、教育係のセユンが認めてくれないのです。
「他の貴族の方々はもっと頑張っておられます。あなたはまだ王子にふさわしくない。」
それもそうでしょう。
貴族は、小さな頃から教育を受けています。
それにリアが追いつけることはないでしょう。
それを知らないリアは、セユンの言葉に焦ります。
焦ると、ミスが目立つ。
それにもっと焦る。
リアは悪循環に陥ってしまいました。
そんなある日。
「リア、悪いけど君とは結婚できない。結婚したい人がいるんだ。」
王子に、唐突に言われました。