ありがとう
「もし、お嬢さん」
リアが振り返ると、そこにはお爺さんがいました。
「どうしたんですか?」
リアが尋ねると、お爺さんは話しはじめました。
狩りの途中に迷ったこと。
まるまる1日、何も食べていないこと。
リアは、迷わずお爺さんにパンを分けました。
困っている人は助けなさい、そうおばあちゃんに言われていたのです。
「本当にありがとう、お嬢さん」
お爺さんは、泣きながらパンを食べました。
「お礼に、いいことを教えてあげようか」
お爺さんは、この森に住む龍について教えてくれました。
その龍は、とても苺が好きなこと。
だから、苺を食べるときは気をつけなさい。
丸呑みにされてしまうから。
そう忠告してくれました。
リアはこの森に入ってから、苺ジャムを食べていませんでした。
ほっと胸をなでおろすリア。
そんなリアを見てほほえみながら、お爺さんは続けます。
そんな龍と友達になる方法が1つだけある。
それは、龍に苺をあげること。
龍に会うことはめったにないけれど、そう最後に言ったお爺さん。
絶対に覚えておこうと心に決めたリアでした。
お爺さんと別れを告げて、リアは歩きます。
それから昼になり、ようやく森から出ました。
そこに広がるのは草原。
みずみずしく若い草が、そよ風に吹かれています。
その中から薬草を探し出したリア。
他に薬草を取りに来る人の為に、少しだけ薬草を摘んで森へと帰ります。
そして、龍と出会いました。
道中の方が完全に薬草摘みより長いですね、すみません
こっから多分面白くなります