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戦術と戦略

結果は、僅差で広樹の案が受け入れられた。

まぁ当然だろうなと広樹は思っていたが、ため息をついて胸をなでおろす。


広樹の唱えた多様な兵種の協力ドクトリンは歩兵のみの物と比べ、

戦車指揮官や火砲指揮官からの支持が大きいことが予想された。

歩兵のみになると彼らの培った経験が失われ、

やがて彼らが左遷されるのではないかとの不安があるだろうと考えていたのだ。


「ではこのドクトリンの詳細について説明いたします。

まずは偵察部隊で敵の本陣を探し、配置も偵察します。

場合によっては航空機を用いるつもりです。

それでまずは火砲で本陣を集中して狙い、無理ならば前線を混乱させることにします。

その後は歩兵、戦車部隊の突撃で、陣の移動を逐一空から見て報告させます。

前線を完全に崩したら陣を戦車で狙いに行きます。」


広樹は事前に用意していた書類もなかったが、

アドリブで何とかやり遂げた。

広樹のプレゼン能力は高く、その場にいた参謀たちは反対したものも含めて舌を巻いた。

「…ということです。なので生産については歩兵装備は二割減らし、

その新しく浮いた分を銃器の生産に回します。

後新しく作った軍需工場を飛行機に使い、

一週間に一個出来るように調整いたします。」


広樹が言い終えると、会議室は拍手で満ちた。

きちんと運用、欠点、それを補完するためのこと、

装備に関わることについてまで満遍なく説明したからだ。

「ではこれで説明は終わりです。何か意見がある方は?」

説明が終わった後、広樹は背に汗をかいていた。


一人の男が、恐る恐る手を挙げた。

「あの…軍需工場を増設するようですが、

それは何年後になるのですか?今すぐは不可能かと…。」

「ご安心を。」

広樹は彼の方を見て、相手を安心させるために笑顔で話す。


「既に共和国経済は回復しているのはご存じでしょう。

現に鉄鋼生産量もたった3か月ほどで7割ほどに回復し、

各工場でも生産が始まっています。

既に供給は増え、各国に輸出しているような形になっていますから。

なので遅くとも今年中には軍需工場を増設できると思います。」


「なるほど…。そこまで回復しているとは思いませんでした。

ありがとうございます。」

彼は椅子に座り、広樹は周りを見渡す。

「…ではこれで終わります。総長、終わりです。」

「わかりました。

ではこれで終わりです。お疲れ様でした。」


広樹はそのまま臨時宮殿に帰り、夕食を取り風呂に入った後、

ジェネリアとチェスをやっていた。

コツコツと駒を置く音が部屋に響く。

最初のうちはジェネリアと広樹は会話をしていたが、

徐々に口数も減っていった。


久々にジェネリアが口を開く。

「ねぇ…貴方強すぎない!?」

「まぁ昔お前のお父様に負けたからな…特訓したんだ。」

広樹はそう言うと、キングの前に駒を置く。

「はい。チェックメイト。」


「…ねぇーーーーーーーーーー!」

彼女はチェス盤をひっくり返し、勢いよく立ちあがる。

「何で手加減してくれないの!?

もう少し優しくしてよ!」

「でもお前手加減すると逆に怒るだろ。

2戦目は敢えてクイーンの前に置かれても気づかない振りしたら怒ったじゃないか。」


「いやそうなんだけど!

もう少し気づかれないようにしてよね!」

「はぁ…まぁ努力はするよ。」

広樹は彼女が散らかしたチェス盤を戻しながら言う。

「…まぁ、貴方と遊べるならいいけど…。」

彼女は小声でそういった。

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