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大帝作戦

大会で民主主義に対する議論が始まった。

保守党は右派民主主義を提案し、

自由党の穏健自由主義派は左派民主主義を提案した。

彼らの思想は、真っ向から対立することになる。


「我々の国家を守り、世界に対して強力なリーダーシップを発揮して

民主主義を推進することが我が国の使命だ!」

保守党の大物議員がそう演説する。


「共和国の民主主義は他国に対して抑圧的な態度を取ることではない!

彼らには彼らの民主主義思想がある!」

自由党と保守党は、民主主義について論争を繰り広げていた。


結局、最終決戦は投票日に持ち込まれ、

コミューン追放の為にしばらくは協力することが確認された。

「では今回も良いものになったであろう。

コミューン打倒のため、団結して更なる努力を惜しまないように。」

広樹はそう言うと、軍の元に戻り、将校たちが集まるのを待った。


彼らはが到着したのは、大会が終わって2日後の5月9日のことであった。

臨時参謀会議で師団長以上の男たちが、

コミューンという勢力を滅ぼすために話し合いを行う。

「では、君たちはブリトン島の兵たちを

ここに連れてきて、一気にコミューンを叩き潰すと?」


参謀本部長に広樹は怪訝な目をして聞く。

「えぇ。問題はないと思いますよ。

しかしブリトン王国軍は全部島においておけば何とか防衛は間に合います。

新しく編成した軍でノリマント地方、ブルタニア地方を征服すれば、

上陸の危険性は限りなく0に近くなります。」


「確かに。上陸作戦の回数も2回ほどなら、そう見ていいだろう。

分かった。そうしてくれ。

では、第1軍から第3軍はノリマント地方。

第4軍から第6軍は南方進出してルークヌドゥム、マルセイエーズ、ボルディアを目指せ。

コミューン軍はもう1万に満たないというから、余裕で勝てるだろう。」

広樹はそう確信し、ノリマント地方制圧作戦に出ることにした。


ノリマント地方の基盤は海運と工業である。

近くの鉱山からとれる潤沢な銅と鉄を使って精錬を行い、

それを海からカレーに送るのが主流であった。


ここを抑えさえすれば敵の海軍生産能力は著しく下がる。

ジブラルタは完全に抑えていたため、

マルセイエーズの工業地域で作られた船は使えず、

ボルディアは海運で発達した都市というよりかは商業都市だったので、

そこまで造船力があるわけではなかった。


つまり、ノリマント地方さえ押さえたら外海の制海権は、

全てレーヌが握ったことになる。

そうなれば戦力を完全に集中させることが出来るようになるので、

更に勝利を得やすくなると踏んでいたのだ。


「敵軍は恐らくこのまま北上して制圧すると思っているのだろうが、

俺はそうは考えていない。

まずはブルタニア半島を支配し、海軍の新たな拠点を作る。

その後、ノリマント地方に複数方向から攻撃を仕掛ける。

海軍と包囲状態に持ち込むぞ。」

広樹は兜を付け、鎧を着て馬にまたがる。


「敵軍はまだ抵抗を続けているが、今から迅速に攻撃作戦を行えば

必ずや、後3カ月以内に勝利を掴みとるであろう。

作戦名は…そうだな。『大帝作戦』だ。」


第1軍から第3軍の司令官は彼の作戦に賛成し、軍を率いて、

ブルタニア半島最大の都市、ブレストンに行くことにした。


ブルタニア半島は農業に向いている土地であり、

共和国内でも一番農民比率が高いのはここである。

だから食料問題は一切なかったのだが、鉄道も一本しかなく、

補給はかなり厳しかった。

「…なるほどな。

それなら海軍に協力を仰ごう。補給線を維持する為に。」

広樹は早速海軍提督に手紙を書き、補給の手伝いをするよう要請した。

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