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転生魔王の世界放浪記  作者: 夜々
1/3

プロローグ(伝説の終わりと新たな始まり)

初投稿です。何も知らない素人ですが、よろしくお願いします。



エルフリート歴1425年、常闇の大陸中央部、邪眼城イービルキャッスル(覇王の間)。

今ここで、歴史は転換期を迎えていた。

直径2カート(約2キロ)はある巨大な部屋の中央にそれらはいた。

重なるように立つ2体の鋼の巨兵、一体は黒と蒼を掛け合わせたような色合いの装甲をもつ巨兵、もう一体は白と黄金の装甲をもつ巨兵。

本来なら見るものに畏怖と敬虔を与えるその2体は、現在どちらも見るも無惨な姿であった。

黒は左肩から下が無く、全身の装甲のあちこちにヒビが走っていて無い所を見つけるほうが難しい。その恐ろしいフォルムの頭部も今にも崩れ落ちてしまいそうなほどである。

一方、白は白でこちらも酷い有り様で、頭部はすでに無く。その背から生えていた翼形のユニットは途中で切り落とされていた。更に右足も失われていた。

それらは全て二体が戦闘を行ったことによるものだった。二体は戦いそして.....今、決着がついた。

黒の巨兵の胴体を光輝く巨剣が貫いていた。それは白の巨兵の武器である。


「・・・・・見事」


黒の巨兵から響く声。それと同時に黒に変化が起こる。

その巨体が淡く輝くと解けるようにその姿が消えていく。やがてそこに残ったのは宙に浮く一人の男。

黒と赤が混じった髪、金色の瞳、漆黒の軽鎧ライトメイル、血の様に紅いマント、そしてその胸には先程の黒の巨兵の状態を写したかのように白い剣に貫かれていた。


「勇者達よ、そなたらの勝利だ・・・・・」


そこまで言うと男は口から大量の血を吐いた。同時に宙に浮かんでいた身体は重力を思い出したかのように地面へと落下する。

落下する最中、男は見る。

白の巨兵が淡く輝きその姿が消え、そこから五つの影がこちらに飛び出してくるのを。

そこで男の意識は一度途絶えた。






我は魔王ジェノサイド、闇の種族を率いる者。世界に手を伸ばし此を蹂躙せし者。<黄昏>を起こしもの


・・・・・されど、それも全てここにて終いである。


我は敗れた。神託されし勇者とその仲間達に。

剣聖ナガレ、聖女マルメロ、精霊皇女ティファール、神拳龍ファーフニル、そして、勇者リリアーノ。

かの者達との激しい戦いの末、我は今、死の時を迎えようとしている。

最早身体は動かず、貫かれた胸からは血とともに命が流れているのが分かる。源泉(コア)を破壊されたため魔術を行使して回復する事も不可能。我の行方はここに定まった。後はこのまま我の意識が闇に溶けるのを待つだけ。


・・・・・・いや、待て。


そこで、気が付く。胸から流れ落ちる血と命が遅くなっている。また身体にほんの僅かであるが活力も戻っている。


これは一体?


身体は相変わらず動かせぬが瞼くらいは動かせるはずだ。そうして開いた瞳がとらえた光景は・・・・・・。


「・・・・・・・・・・何をしている?」


それは予想外の光景だった。聖女と精霊皇女の二人が我の胸元に手を当て(剣は既に抜かれていた)魔術を行使している。そこから漏れる暖かな光はそれが回復の魔術であることが分かる。


「やめよ。」


そう声をかけても二人は反応しない。その顔は必死な表情であり汗だくであった。身体が動けば押し退けられたのだがそれも今は出来ない。

ふと、頬に暖かな滴が落ちてきたのに気付き上を見ると、



泣きながら我を見つめる女、勇者の顔がそこにあった。



「何故・・・・・泣く?」


「・・・・・悲しいからです」


我の問に泣きながら勇者は答える。


「悲しい?何故?貴様らは我に勝った。この魔王ジェノサイドに・・・・・・・・喜びこそすれ悲しむことなど無いはずだ」


「・・・・・・・・・」


「そもそも何故止めを刺さない?何故回復させよう等と馬鹿なことを・・・・・」


「そんなの決まっているじゃないですか!!!!!!!!」


突然、勇者が感情を爆発させた。


「何故っ!?そんなの助けたいからに決まってます!貴方に死んでほしくないからっ!生きていてほしいから!!」


泣きながら叫び続ける


「止めなんて刺せるわけない!!喜ぶなんて出来ない!!!だって・・・・・っ」


その叫びに想いの全てをぶつけるように



仲間・・の貴方が!・・・大切な貴方ひとが!こんな事になっているのに・・・喜べるはずないじゃないですか!!ジェクトさん(・・・・・・)!!!!!!」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まったく。このバカ勇者(・・・・・・)はどうしていつもいつも(・・・・・・)


「何で・・・・・この土壇場で・・・・・・その名(・・・)を呼んじまうかな・・・・・・・バカ勇者(リリー)


こやつにそう呼ばれたら我は・・・・・・いや、俺は(・・)


()()()()()()なるだろうが・・・・・・・・」


魔王ジェノサイドを演じられなくなる。コイツらの仲間であるジェイドに戻りたくなってしまう。


「それで良いじゃないですか。私達にとって貴方はジェイドさんです・・・・・・・・・。ジェイドさんなんです。魔王ジェノサイドなんかじゃない」


良くない。良いわけが無い。今さらジェイドに戻る訳にはいかない。そうだ、此処で死ぬのは魔王ジェノサイドでなければならない(・・・・・・・・)。そうでなければ俺の計画(・・・・)が・・・・・・・・


「貴様は自分勝手だ」


声の方に視線を送るとリリアーノ・・・・リリーの後ろに顔を背けた彼女が見えた。


「ナガレ・・・・・か」


剣聖ナガレ、若干23歳の若さで世界最高の剣士と成った才女。ジパンと言われる極東の島国出身の剣士(彼女の故郷では「サムライ」と言うらしい)でそこの民族衣装である「キモノ」をいつも身に付けている。その手に持つ得物は「刀」と呼ばれる独特の剣だ。


「貴様は私達によく言っていたな?『一人で勝手な行動をとるな』『大事な事は仲間に報告、相談しろ』・・・・・・・『仲間を頼れ』?」


「・・・・・・・・・・・・・」


「ふざけるな・・・・・・貴様自身が言ったこと、何一つ出来てはいないではないか!?」


俺から顔を背けながらナガレが叫ぶ。


「その挙げ句、こんな結末だと!!ふざけるのも大概しろ!!!!!」


ナガレの怒り、それは当然のものだ。俺は彼女達に偉そうな事を言っておきながら、自分からそれを破っていた。自分だけで考え、彼女達になにも言わず、ある計画を行った。


「・・・・・・・・すまん」


だから、俺にはその様に謝るしか出来ない。


「そ・んなっ!!・・・そんな言葉がっ!!!!・・・・・・・・・・・聞きたいわけじゃ・・・・・ない!!そもそも何故・・・・・」


「私達を頼ってくれなかった?」。そう聞こえた気がした。

よく見ればその手はよほど強く握りしめているのか血がにじんでいた。


「・・・・・・・・・」


絶対反対されると、止められると分かっていた。彼女達が計画には賛同することは無いと。だから何も言わなかった。言う訳にはいかなかった。

・・・・・・・・・完全に俺のエゴだ。

そのまま黙って俯いてしまったナガレから視線を反らし、未だに俺を治療しようとしている二人に眼を向けた。


「二人とも・・・・・・もう、良い。・・・・・俺はもう助--」


「大丈夫、私が治す」


助からない。そう言おうとした言葉を遮ってきたのは、


「・・・・・・・マル」


「大丈夫、助かる。助ける。私が、必ずっ・・・・!」


こちら見ず、手元に集中しながら彼女は術をかけ続ける。


聖女マルメロ、パーティー内では最年少の14歳だが世界最高クラスの治癒魔術と結界魔術の使い手であり、同時に「アナギア王国」と呼ばれる国の聖女として国民から絶大な支持を得ている少女。


パーティー内ではマルの愛称で呼ばれ、普段あまり自己主張しない彼女。そんな彼女が声を出してここまで必死になる姿を俺は初めて見たかもしれない。


「マルちゃんの言う通りよ。ここはお姉さん達に任せて」


マルメロの言葉に同意するように、こちらを見てウインクをする女性。


精霊皇女ティファール、妖精や精霊、そしてエルフの暮らす森の国「アバロン」。彼女はそこで暮らすハイエルフであり、比肩するものがいない程の精霊魔術と神憑り的な魔道弓の使い手でもある。因みに王位継承権第3位を持つれっきとした王族だ。


「ジェイ坊は心配無用。するなら、この後"皆に許してもらう方法"の心配でもしたほうがいいと思う。言っておくけど、今回ばかりはお姉さんもかなり"おこ"だから」


この人は相変わらずだ。自分がこのパーティーの保護者(お姉さん)だと言って聞かないのも、160歳(・・・)の俺を『ジェイ坊』呼ばわりして子供扱いするのも。


「覚悟しなよ~。お姉さん容赦しないからね。ひとまず、一日中お姉さんに付き合ってもらって、それからジェイ坊の奢りで・・・・・」


ただ、その顔はかなりの疲れと汗がにじんでおり、セリフとは裏腹にかなり無理をしているのが分かる。


「ティファール」


だから俺は


「こら、いつも言ってるでしょ。『お姉さん』だって言い・・・」


「先ほどの戦いで・・・・『源泉(コア)』が破壊されてる。もう、どうにもならない。」


これ以上ない『現実』を告げた。


「「「「「!?」」」」」


治癒術をかけていた二人が、いや、その場の全員が肩を震わせたのが分かった。


源泉(コア)』、それは『生命の泉』『魔力の源泉』『真理の門』『根源への扉』。呼び方は様々だが簡単に説明すれば、『魔力的心臓』である。

この『源泉』は命ある全てに存在しており、世界の源泉『根源(オリジンコア)』と繋がっている。

根源からは『マナ(原初魔力)』と呼ばれる生き物が生きるのに必要不可欠なエネルギーが源泉に送られ、その送られたマナを源泉はその生き物の体全体に送り体を維持する。

マナがあるから生き物は生きていける。だが逆にマナがなければどんなに物理的に異常がなかろうと生きてはいけない。

マナを失った体は衰弱を起こし、あっという間に死を迎えるのだ。

更にマナはとても変化しやすいためこれ以外の方法で体に取り込むことができない。

そして、源泉は基本的に一度破壊されれば()()()()()()()()()()()

例え、世界最高クラスの治癒魔術の使い手のこの二人が、気力、魔力共に万全な状態であったとしてもその成功率は()()()()()()()()()()。ましてや今ここに至るまでの激しい戦闘で魔力が枯渇しかけている二人では・・・・


「・・・・・・・・」


その事を理解出来ない二人ではない。ティファールは辛そうに顔を伏せ、手を下ろす。

そしてマロは・・・・・・・


「・・・っ!」


何故かそれまで以上の魔力で術を使い始めた。


「マロちゃんっ!?」


その行為にリリー達が驚きの声をあげる。

当たり前だ、今の彼女に今以上の魔力行使は危険過ぎる。ただでさえ、枯渇寸前なのだ。このままでは彼女の命すら危うい。


「マロ・・・・止めろ・・・・・・止めるんだ!」


『マロちゃん、ダメっ!!』


殆ど力の入らない体、上手く喋れない喉に鞭を打ち、頭を動かしてマロに叫ぶ。

リリー達もマロに飛び付き、無理矢理俺から引き剥がした。


「う~!、やぁー」


しかし、彼女は拘束を解こうと暴れ始める。


「やだ。やーだぁー!!助けるのっ!私がっ!ジェイドを!!()()()()()を!!」


何時もは大人顔負けの冷静さを見せる彼女が、今はまるで小さな子供のようであった。

だが、彼女の小さな体では他の者達の拘束を解くことは出来ない。


「やーっ、お兄ちゃん!。お兄ちゃんっ!!」


はたして、彼女に兄呼ばわりされるのはいつぶりだろうか?旅の途中で俺を名前呼びするようになってからは聞くことがなかったので本当に久しぶりだった。


「お、にーちゃん!、おにぃ、ちゃぁん・・・・っ」


・・・・・・出来ることなら、あんな泣き顔で呼ばれたくはなかったが。


「おい、()()()()()()


そんなふうに思っていると、逆方向から声がかかる。


「バカに・・・バカとは言われたく無いぞ。・・・・・()()()()()


そう声を返して、そちらに視線を向ける。


神拳龍ファーフニル。北と南にある龍達が住む山脈『ドラゴンズピーク』。コイツは、北側にある山脈で暮らす龍族達の長の娘である。

強い力を持つ龍は、その姿をヒト型を変えることができる。

コイツはその姿での格闘魔術を得意とし、それのみで次期長の座を勝ち取った猛者であり

・・・・・・・そして、極度の戦闘狂(バトルジャンキー)であり、深く物事を考えない()()()


普段なら、今みたいに言葉を返せばここから口喧嘩が始まるのだが、


「・・・本当に、ダメなのか・・・・・?」


それにはのらず、ただ静かに訪ねてくる。


「言った通りだ。・・・・・流石に・・・助からねえよ」


そう言うと、ファーフニルは俯いて


「約束はどうするんだよ・・・・・・?」


そう訊ねてきた。


「約・・束・・・?」


はて?、俺はコイツと約束などしただろうか?


「アタシとっ!お前っ!、"全部"終わったら、二人で勝負する約束だろう!!」


・・・・・・・・あ~。したな、そんな約束。確か、敗けた方が勝った方の言うことを何でも一つ利く、とかだったか?なにぶん多忙な状況での約束だったので頭から抜けていた。

とはいえ、


「この・・・状況で・・・出来ると思うか?、諦めろ。バカ」


「何でだよ!?、嘘はいけないんだぞっ!。嘘ついたら『スパイクラット』千匹飲まなきゃなんだぞっ!」


因みに、『スパイクラット』とは身体から鋼鉄の刺を無数に生やす、大きさ30セート(約30センチメートル)と小型モンスターだ。


「んなもん・・・・物理的に・・・・無理・・・だろうが・・・少しは考えろ・・・・」


こんな状況で無理を言うなと言いたい。


「くそっ!。何で、なんでだよぉ~。お前に勝って・・・そんでアタシ・・・お前に・・・」


涙声でそんなことを言うファーフニル。最後辺りは声が小さくて聴こえなかったが、そんなに俺にやらせたい事でもあったのだろうか?


「何・・・だよ、上手く・・・きこ-ゴフゥッ!!!」


聴こえない、と言おうとしたが、喉元まで上がってきた血を吐いてしまう。


「「「「「ジェイド(さん)!?」」」」」


そんな俺に悲痛な声をあげる5人。


・・・・・・ここまでだな。


マルメロとティファールの術でほんの少し持ち直していた身体もそろそろ限界に来ている。


「リリー・・・・そこに・・・いるか?」


「!・・・・・はい。ここにいます。ジェイドさん・・・」


実のところ、ファーフニルと会話している時から殆ど眼が見えなくなっていた。

それを察したのだろう。リリアーノに手を握られたような気がした。


・・・どうやら身体の感覚も無くなってきているようだ。


神託されし勇者リリアーノ。『神』によって神託され、勇者になった少女。

神剣と光の力を手に、若干18歳の少女は多くの困難を乗り越えてきた。

元は、今は無き王国の忘れ形見だったとか・・・・・。

そして、俺と彼女はパーティー内で()()()()()()()()だった。


「なあ、覚え・・てるか?」


「・・・・・・何をですか?」


「以前・・・俺に、世界が・・・好きかどうか。・・・聞いてきたな?」


『私、この世界が大好きです。ジェイドさんはどうですか?』


まだ出会ったばかりの頃、彼女はそう俺に聞いてきた。その時俺は・・・


「はい、・・・・『大嫌いだ』てジェイドさん言ってました。」


そう。俺はこの世界が大嫌いだった。弱者に厳しく優しくないこの世界が。弱ければ生きてはいけない世界が。


「やっ・・ぱり、今でも俺は・・・・この世界が・・・大嫌いだ。」


だから、仲間を騙してまでこの計画を進めてきた。

全ては()()()()()()()()()



「・・・そう、ですか」


「だが・・・・・」


そう、だけど


「お前と・・・お前らと・・・・一緒に旅をしている時間は・・・・・()()()()・・・と思っていた」


いつの間にか、彼女達との時間は俺にとって掛け替えの無いものになっていた。

それはつまり・・・・・・・・・いや、考えるのはよそう。


「ジェイド・・・・さん」


今はそんな感傷よりも、彼女達に言わなければ事がある。


「・・・・・・・()()()()()()


「・・・・はい」


「なら・・・今度は()()()()()()()()()()()()


だから


「リリー」


「はい」


「ナガレ」


「・・・・・ああ」


「マル」


「ぐすっ、・・・はい!」


「ティファール・・・・いや、『()()()()()』」


「・・・もう、こんな時ばっかり。うん、何かな」


「フニル」


「グスッ、グスッグスッ~。んっだよぉ~」



「・・・・・・・・・後は・・・・・頼む」


言いながら、自分の言葉に呆れてしまう。

ナガレの言う通り、俺は自分勝手だ。

自分のエゴで世界を壊し、その後始末を彼女達に頼むのだから

相手からすれば身勝手きわまりない話だろう。


だが、俺は()()()()()にはいけないから・・・・・・・・



「「「「「・・・・・」」」」」


彼女達から迷うような雰囲気が感じられるもそれは一瞬で、


「「「「「 任せて(下さい)」」」」」


そう、応えてくれた。




ああ、十分だ。


もう、何も心配する事はない。

彼女達ならきっと素晴らしい世界を・・・・・・・



俺の意識はそのまま闇に沈んでいく。

もう二度と、浮かび上がる事はないだろう。


「ジ・・・!・・・・ド!!」


「・・・・・な・・・・、い・・!・・・・・だ・・・!!!!!!!」


誰かが何か叫んでいる。

だが・・・もう、よく聴こえない。


「・・・て!!、・・・・・ よ!!!」


「・・・!!!!・・!・・・・・・・!」


「・・・・・・・・!」





最後の瞬間、

唇に何か柔らかな感触を感じた気がした。

それが何か考える暇もないまま、俺の意識は完全に闇に沈んでいった・・・・・・・















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・

意識が覚醒していくのを感じる。

睡眠から目覚める時に感じるあの感覚。


馬鹿な・・・・

俺は死んだはずだ。

あの状態から助かるはずが無い・・・・・


なのに、意識は更にハッキリしてきて。

ついに、俺は眼を開けた。



・・・・・・・・・何処だ、ここは?

見覚えの無い天井。そして、


「あら、起きたのかしら?」


見覚えの無い女の顔と声。


誰だ、お前は?


そう聞こうとして、


「う、アー、うぅ?」


口から出たのは意味を持たない音


口が上手く動かない?。いや、そもそも喉から音が上手く出せない!?

そういえば、身体も上手く動かせない!


「ううっー、あーアーっ。ウーうーっ!!」


なんだ、何がどうなっている?


最初に頭に浮かんだのは何らかの後遺症。

()()()()()()から万が一助かったのだとすればそれも頷ける。だが、


「あらあら。どうしたの?ジェイド」


だとすれば、この細腕の女に()()()()()()()()()この状況はどう説明する。


・・・・・そもそも、何時から俺の体と手足はこんなに短く、小さくなった?


先程から口から漏れる声も何だかやけに高く聴こえる。


「ほらほーら。ママですよー。ジェイドくんはご機嫌斜めなのかな~?」


・・・・・・・・おい。今、この女は何て言った?

何だか、信じられない事を言われたきがするんだが・・・・・・


「ジェミニ、どうかしたのかい?」


横から聴こえる声、視線を向けるとこちらに歩いてくる見覚えの無い男。


「ハンス。大丈夫よ、ジェイドが少しぐずっただけ」


「う~ん。お腹でもすいたのかな?」


「まさか、さっきお腹いっぱいになるまでお乳を飲んでいたもの」


「じゃあ、オムツとか・・?」


「それも、さっき取り替えたわ」


おいおい、先ほどから信じられないような事が立て続けに聴こえてくるんだが?


「・・・ダメだ、判らない。パパ失格かなぁ~」


・・・・・ほら、また。


「大丈夫よ、ハンス。初めての事なんだもの。これから覚えていけば良いのよ」


「そ、そうだね!頑張るよ!!」


何やら鼻息を強くしてこちらを見てくる。


「パパ頑張るからなぁ~。ジェイド!!」



・・・・・・ここまでの事を踏まえた上で、一つの仮説が頭に浮かぶ。

い、いやいや。ないないっ!そんな馬鹿げたことがあるはず・・・・・・・うっ?


な、なん・・だ?


突然、途轍もない眠気が襲ってきた。余りにも強い眠気に俺は抵抗できず眼を閉じてしまう。


「あら、今度はおネムかしら?」


「怒ったり、眠ったり。()()()()()は忙しないね」


「仕方ないわ。それが()()()()の仕事だもの」


眠りに落ちる直前に聴こえてきた声は、俺の仮説をほぼ肯定するものだった。





そう・・・・この日、魔王ジェノサイド(ジェイド)は、只の小さな赤ん坊に生まれ変わったのである。

とりあえず、プロローグだけ投稿します。

本職の合間で書いてるので投稿頻度は正直かなり遅いかと。

それでも良ければよろしくお願いします。

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