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探し屋さん

作者: エン

カランカラン


入口のベルが鳴る、と同時に店内に入ってきたのは20代前半くらいのネクラそうな男。猫背ゆえにうつむいたその顔からは暗い目が覗いている。

男は店内をなめるように見回し、目の前のカウンターに近づいた。


「探し屋へようこそいらっしゃいました。何をお探しでしょう?」


まるでそれを見計らったかのようにタイミングよく若い女の声がカウンターの奥の薄暗い廊下から聞こえてきた。

その廊下からパタパタと慌ただしく女、いや少女が駆けて来て男に頭を下げる。若いというよりむしろ幼い少女の登場に男は驚いたようだったがぼそぼそと言葉を発した。


「僕を本当に理解してくれる人を」

「理解者ですね。少々お待ちください」


笑顔で頭を下げ、少女はまた廊下の奥に戻っていった。




男は世間一般でいうところのヒキコモリだ。

特に問題があったわけではない。いじめられてもいなかったし、それなりに友達もいた。

そんな彼の悩み、それは“誰も本当の自分を理解してくれない”こと。そして男は思った。“広い世界のどこかになら絶対にいる”と。


それから男はそれまで生きてきた世界を捨てて理解者探しを始めた。方法はインターネット。しかしそこでも理解者は得られなかった。

が、ほかの情報を手に入れた。



探し屋。


『頼まれれば盗み、過酷条件なんでもござれです!!』

そんなキャッチコピーの風変わりな会社はその有名な名とはうらはらに場所、構成員などの情報は全く知られていなかった。

それでも男はあきらめず探し続け、ようやく今日という日にたどり着けたのだった。



僕の理解者はどんな人なんだろう?




「お待たせいたしました」


男が待ち始めて5分もしない頃、その声はした。男が顔をあげるとそこには男そっくりな姿をした男がいる。


まずは確かめてみなければ。


そう思った男はゆっくりと理解者に話しだす。

僕の思い、夢、苦労・・・。男はどんどん理解者とのはなしにのめりこんでいった。




男が満足げに去って行った店内。

少女はひとりため息をついた。


「気がつきませんでしたね・・・」

「ホントにな」


後方から聞こえた声に振り向きもせず、少女は言葉をつづけた。


「あの相槌人形を彼の姿にしたのはヒントですか?」

声は答えない。


その無言を肯定ととり、少女は男の未来をみた。



電気もつけない部屋で人形に話し続ける男。機械的に相槌を打ち続ける人形。

自分の全てを話し終えた男は幸せそうに目をとじた。

永遠に目覚めない男の隣で人形が口を開きうなずき続ける・・・壊れるまで、ずっと。



「自分を理解しきれる人なんて自分しかいない。奴はそれに気がついたのか?」

いつの間にか隣に来ていた青年に首をふり少女は踵をかえした。




カランカラン


入口のベルが鳴る。今日も誰かが何かを探してる。



なんか暗いですね・・・。

でも探し屋の設定自体はとても気に入っているのでまた書きたいです。はじめは探偵会社でした。

それがいつのまにかこんなファンタジックな感じに。我ながら不思議です。


読んでくださりありがとうございました!


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― 新着の感想 ―
[一言] アンドロイドものの多々ある中で、特に目を見張るべきアイデアも演出もないように思われます。
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