媚薬の力は恐ろしい!!
「風呂借りたぞー」
「……ハイ」
どうしてこうなった。
まずは自己紹介をしよう。私は佐々木希だ。この事態の始まりは、今日の夜窓辺で雨を眺めていた所からだ。ぼんやり外を眺めていると、私の想い人である二つ上の先輩、川村裕太先輩と会った。それでどうしたのか聞くと、終電を乗り過ごしたと言う。私はびしょ濡れの先輩を家にあげて風呂に入らせて今に至る。
「いやー助かった。正直困ってたんだ」
先輩が髪を拭きながらやって来る。
「てゆうかこの服どうしたんだ?」
「私、一人暮らしなんですよ。それで男服を一式掛けて置くようにしてるんです」
先輩はへーっと言いつつ服を眺める。私はそれを見ながらつばを飲む。二人きりになれる機会なんてそうそう無い。これは神様がくれたチャンスなのだろう。何としてもモノにしなければ。
「ご飯にしましょう。」
私はそう言ってキッチンへ向う。そして、料理を作りつつなかに媚薬を仕込む。そんなもん持ってんのかって?人参とレモン混ぜたらなるってなんかでやってた!そうして出来た料理を先輩に出す。先輩は何の疑問も抱かず食べていた。少し罪悪感が湧くが何でもないふりをした。
そして夜、私は先輩が寝ているソファに近づき布団を捲った。すると、先輩の手が私を捕らえ、ソファに押し付けた。
「…何のつもりだ」
「せ……がす…」
「なんだ?」
「先輩のことが好きなんです!!だから、せめて一夜だけでもと…」
私はヤケになって白状する。先輩は目を見開いた後低く唸る。
「お前よ〜。何で告白とか諸々すっ飛ばしてこうなる」
「だって、私は吊り目だし、可愛く無いし…」
「あーもう、お前は可愛いよ。俺が保証する。このサラサラの髪も、いっつも感じるいい匂いも、照れると真っ赤になって俯く所も、甘えん坊な所も。」
私は驚いて先輩を見上げる。先輩は照れたようにそっぽを向きながらモゴモゴとなにかを呟いている。
「先輩?」
「はー、俺もお前のことが好きだよ。これから宜しくな。」
「っ、はい!!」
こんな幸せなことがあっていいのだろうか。愛しすぎて胸が張り裂けそうだ。
「…取り敢えず、お前俺に何した?」
先輩の顔が赤くなっている。忘れてた、媚薬を盛ったんだった。つい目線が横に逸れる。
「…び、媚薬…を少々…」
「何やってんだよ…責任は取れよ?」
「え、ちょ…まっ…」
「責任は、取れよ?」
「にゃぁぁぁぁぁぁ」
…どうなったかはご想像にお任せします。でも、私は幸せです!