表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/35

暴食のオーク襲来

部屋に入ると先に上がって行ったリンダとコルアの両名がソファーで小さくなっているそれを見たギルド


マスターが「しゃんとせんか二人とも恩人の前だぞ」と怒鳴りつけると二人は仁に気づいて背筋を伸ば


す、その様子にため息をつくと仁にソファーを勧めてから自分のいすに腰掛けた。


そして仁を目を向けると「この町のギルドマスターで元重騎士のジェイコルだ、まずは礼を言わせてくれ


おかげで孫のパーティーも無事だったありがとうそれでだ孫の話だと悪人を身動きできなくさせる家宝の


力で拘束したそうだがでもそれうそだよな正解は特殊スキルだよな」とにこやかに言い放つあわてる仁を


落ち着かせると「わしは口外するつもりはないから安心せい面倒ごとの種にしかならんことするわけなか


ろそれに孫の恩人じゃしな」と言うが信じきれずに小声で「本音は」とささやくと「悪さをしてるいらん


やつらが網にかかるじゃろってなに言わせるんじゃ」と言ってあわてだすそして強引に話を戻すと「それ


でだ下で言ったとうり孫たちは君に盗賊達の賞金を全て譲りたいそうなんだ受けてもらえるかの」とたず


ねてくるが仁は首を振って「すみませんがそれは受けられません」と断った。


「なぜか教えてもらえんじゃろうな」とじろりと仁をにらむと同時に部屋の中を重苦しい空気が支配する


その空気に押されるように再び小さくなり出すリンダとコルアに目をやってから仁は一言「だってそれも


らったら面倒じゃないいですかいろいろ」その言葉に張り詰めていた空気が一瞬で吹き飛び仁以外の3人


は噴出すように笑い出した。


部屋の中に笑い声が響くそのとき下にいた冒険者の一人は後仲間にこう言ったという「俺ギルドマスター


の笑い声初めて聞いたいつも人を小僧呼ばわりしてるときのやつじゃなくて腹の底からってやつ」


ジェイコル自身もここまで見事に自分の想定を覆されると笑うしかなかった冒険者になろうとするものな


ら賞金を全部もらえる大喜びでうなずくのが普通なのに断ったなら孫娘たちと交際でもさせろとか何がし


かの便宜を図ってくれとかなのかと思ったらただの一言面倒だこれには参った。


リンダとコルアも断られた瞬間まさかこの人も別な目的があって近づいてきたのかと一瞬疑いかけたが続


けられた言葉に我慢できずにおなかを抱えて笑い転げているやはりこの人は違うと二人は自分の目に狂い


がなかったことを喜んでいた。


そんな状況を読めていない仁は「あの断った事がそんなにおかしいんですか?」とたずねると「ああ一般


的な冒険者の志望動機ってやつはみもふたもないが金だ、報酬の分配でパーティーを組んだはいいがもめ


る奴等ははいてすてるほどいる逆にもめない連中を数えたほうが早いくらいにな、なのにお前はいらんと


来たまったく金に目がくらんで仲間で殴り合いの喧嘩してるやつらに聞かせてやりたいぜとはいったもの


のまったく受け取らないのはほかの奴等の反感を買うのでよくない多少は受け取ってもらうとして残りの


使い道をできればお前に決めてもらいたい」


「わかりましたそれじゃあ」と仁はここでもジェイコルを驚かせた


1、今回の盗賊達の犠牲者達の鎮魂の祈祷代


2、今回の盗賊達によって孤児なった者ならびに働き手のいなくなってしまった家庭に対しての援助


3、2の孤児を預かる孤児院への援助


4、2の家庭への就職支援


「これでどうでしょたりますか?」


「足りるが完全にお前の名前を出さずにギルドでやったことにしてくれなんてやっぱりお前は異色とゆうか」


「ええ変な冒険者ですねいい意味でですがねお爺様」とリンダが言いながら微笑んだ。


そんな時だった猛烈な勢いで階段を駆け上がる音とともに部屋の中に一人の冒険者が駆け込んでくる「ギ


ルドマスタージェイコル大変です魔獣オークキングがあらわれ軍勢を率いてこの町に向かって進軍中です


騎士団には仲間が知らせに行ってますギルドでも対処をお願いします」


部屋の中に重苦しい空気がたちこめジェイコルの顔になにかを覚悟するような表情が見え隠れするがそれ


を押し隠すと「全員聞いたなさっきの話しは生き残ってからだ」


そう言って立ち上がると一階に駆け下りると「緊急依頼の発生だこの町にいる戦える冒険者を全て集めろ


暴食のオーキングが侵攻を開始したこの町の冒険者の意地に賭けてこの町には一歩も踏み入れさせるな」


と怒鳴ると一階にいた冒険者たちが外に飛び出していく続いて職員たちに目を向けると「集まった冒険者


たちの名簿の作成と編成を頼む名簿は誰がいるかわかって頭数がわかればいい正確さよりも迅速めざせ


30分で作成しろ俺は名簿の作成と編成ができ次第先発する後発は騎士団と一緒に出発させろ俺たち先発


部隊でできるだけやつらの数を減らすつもりだが最悪先発部隊は全員戻れないだろう先発部隊は志願制に


してかまわん俺と一緒に死ぬつもりの奴等だけにするんだ死にたくないやつにかまってる余裕はない」と


指示すると職員たちはうなずくと散っていった。


ジェイコルはリンダにほほえむと「お前の花嫁姿見れんかもしれんなだがこの町を守る冒険者達の長とし


てこの街を守らねばならんリンダお前が愛した相手と幸せになれるように祈っとるさらばじゃげんきでな」


そう言ってリンダを抱きしめると「誰か二人をうちまで送ってやってくれまだ二人にははやすぎる自宅待機を命じる」


そう言ってリンダとコルアの二人をギルドから追い出した、そして仁に目を向けると「笑ってくれてもか


まわんぞでもあの二人にはわしより先には死んでほしくないんじゃ我がままじゃろうがな」と言って自嘲


しているジェイコルに仁は「笑える奴はいませんよ誰だって自分の愛した人は自分より長く生きてほしいものなんですから」


「ありがとうお主も町に待機してもらうぞわしらが止められなかったら後を頼む」


そう言って仁の肩に手を置いた仁はうつむくと自分の経験のなさに嫌気が差しその拳を硬く握り締めていた。


程なくしてジェイコルに率いられた冒険者達がギルドの前から出発していった、立ち尽くす仁の前をすり


抜けるようにそれから一時間ほどたったころだったギルドに少年か駆け込んでくる「大変だリンダ姉の


パーティーが単独でジェイコル爺達を追いかけていった」


「なんですって後発部隊の出発まではまだ時間がかかりますこのままではみすみす死なせてしまう」


ギルド内に重苦しい空気が立ち込める誰もが皆今すぐ飛び出したいしかしそれをすれば命がけで時間を稼


いでいるであろう先発隊の苦労を台無しにしてしまうそれを考えると皆動けなかった


「誰かリンダ姉たちを助けてよ俺の父ちゃんの敵を捕らえてくれた姉ちゃん達を死なせないでお願いだから」


最後のほうは泣き声になっていた大粒の涙をぼたぼたとこぼしながら少年は泣き崩れていたその肩に手が置かれた


「俺が行く」


仁は力強く自分に言い聞かせるように少年に言った


「まてお前一人いったところで何ができるみすみす死体が増やすのか後発隊出発を待つんだ無謀な行為は慎め」


「異論は認めない俺が行くこの中で戦力に勘定されてないのは俺だけだ時間がかかればそれだけ危険が増しリンダたちに追いつけなくなる」


そう言ってギルドの外に飛び出していくあわててその場の冒険者たちが止めようとあとを追いかけるが外に出たときには仁の姿はどこにもなかった。


「神様お願いしますリンダ姉達と危険を顧みず追いかけてくれたあのお兄ちゃんを守ってください」


少年の祈りの言葉があたりに響くほかの冒険者たちもそれに倣うように手を合わせ祈った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ