アルバートの指名依頼
アルバートが仁に依頼を頼みに来ます
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ある日のことだったギルドに入った仁を数人冒険者と一緒にファーナが取り囲むと「申し訳ありません仁
さん先ほどからある方が仁さんをお待ちなのでご同行お願いいたします」と言って有無を言わせずにギル
ドマスターの執務室へ連れて行く誰が待っているのかと入った仁の目の前にいたのはアルバートだった、
アルバートは「待っていたよ、仁君」とにこやかに笑うが仁は「アルバートさん大勢を巻き込んで何のよ
うですか?」と少し怒ったように尋ねると「なに君に指名依頼を頼みに来たんだ」と事も無げに答えると
依頼を説明し始める内容は至極簡単王都からこられる人物の護衛依頼期間は三日で二日後には到着するの
だがリンダ達とは別に護衛に付いて貰いたいとのことだった。
アルバートに仁は疑問に思ったことを矢継ぎ早に聞いていく
1、なぜおれに依頼を?
「私が知る中で護衛として一番の適任者は君なんだ理由簡単悪意のある相手を識別することができるマ
ジックアイテムを君は持っているつまり悪意の接近を許さないこれが大きいね遠距離から弓矢および魔法
攻撃については本人が持っておられるマジックアイテムで防げるのだがそれは近接攻撃を想定された物で
はないんだ」とアルバート
2、護衛対象はこの町へ何の目的で訪れる?
「婚約者に会いに来るんだこの際はっきり言ってしまおうその婚約者はうちのコートアルだ」とアルバート
3、護衛対象はひょっとして王族?
「なぜそう思うのか答えてもらえるかな?」とアルバートが聞くので「簡単な消去法ですまず庶民が消え
るのは、仰々しく守るより大勢の中で守ったほうが目隠しが効いて守りやすいですからね貴族などが消え
たのは貴族ならば宰相家に喧嘩を売るなんてよっぽど切羽詰ってるんです逆に仰々しく守ったほうがいい
はずです人数で敵を圧倒できますから最後の王族が残ったのは王族の方が降嫁されるにしろコートアルさ
んが婿入りするにしろ適切な時期に公表しなければ邪魔が入りますなので公表前に相手のうちを尋ねるの
はかなりのリスクを伴う行為ですでも会いたい会いに行きたいそのわがままを宰相家に押し付けられるの
は・・」
「なるほど王族だけかこれは見事な推察だ」とアルバートが手放しで仁をほめるが仁は「王族のしかも姫
がこられるのならば俺よりリンダやコルアのほうが適任なのでは特にコルアは将来の義姉の護衛なら喜ん
で引き受けると思うのですが?」と仏頂面でアルバートに尋ねると「勿論彼女たちにも頼むが彼女たちの
元へ行かせない形で護衛を頼みたい」とアルバートが言うのでとうとう切れて殺気を部屋の中にばら撒い
て「つまりこう言う事ですかこの町へこられるその王族のために最悪道連れにしてでも敵を近づけるなと
いう依頼ですか?」と尋ねると「そういう依頼という認識でかまわない」とアルバートは答えると仁に返
答を求めると仁は「わかりましたお受けしますがこの依頼の後二度と俺の前に顔を出さないでください娘
の知り合いに表情も変えずに死んでくれと言える方と顔を会わしたくありませんので」と言って執務室か
ら出て行くその場に残されたアルバートとジェイコルしばし固まっていたがジェイコルのほうから口を開
く「お前に言っておく自殺したいなら他人を巻き込むな、それと家族に捨てられる覚悟をするんだな自分
があいつを試したいばかりにこんな馬鹿な真似をしたんだコートアルに姫が会いたいのは本当だろうが姫
に危害を加えるなんてよっぽどの馬鹿しか、いないんだぞいくらやつが強いとはいえ命がけで姫を守れだ
とあいつを排除するために依頼したととられてもしょうがないぞ」と言ったとたんアルバートの顔が青く
なり「エーとそれもあるんですが姫ご自身が余人を交えずに二人きりで会いたいって連絡で姫には人の真
実を見定める目がありますから丁度いいのっかちゃえと・・・・・」ここまで言ってうつむいて黙り込む
とジェイコルはあきれて頭を抱えると「お前もし姫にこのことがばれたら隠居させれるだろうな確実に姫
王族には珍しく一人っ子だからコルア、の事を実の妹のように扱ってるし自分の希望で仁が危険な依頼を
受けることになったと知ったらあのご気性の姫のことだ国王にお前の後釜を用意して排除するだろうなそ
うなったら家に居られるのか?」と言うと肩をすくめるその隣ではアルバートが青を通り越して白くなっ
ていた。
後先考えないアルバートの未来はどっちだ
アルバート「どうか父親からの試練ってことでお許しを」
姫?「・・・・・・・・・ニヤリ」
次回破天荒なお姫様