1ピース
…相変わらず時間は遅く流れていく。教室の中では教師がドヤ顔でダジャレを言い、クラス中の俺を除いた生徒達が困った様に笑って互いを見合っている。この光景はいつ見ても心が疼く。特に疼くのは休み時間に皆がグループごとに集まり談笑している時や、クラスの催しで俺以外の皆が一致団結している時だ。その光景はあまりにも俺には眩しすぎて、触れたら壊れそうで逃げたくなる。断っておくが、俺はボッチという訳では無い。話す友達はいるし、クラスでも上手くはいっている。しかしながら、そうしていても心の中では人を疑って止まない自分がいるのだ。例えば(裏では何を言っていることやら…)や(コイツは何を考えてこの話をしているのか?)など…ここまで来ると対人恐怖症の域に達している様な気もしないではないが、まァ大丈夫だろう。
A「…い」
2年になって新しいクラスに移されて少しセンチになっているだけだろう。そう思う事にし、俺は外を見入った。
A「おい!聞いてるのか!」
紫央「ん…どした?」
A「どうしたじゃあないだろう…今日が締切だぞ?課題」
あぁ、例の課題か…さては遠回しに「やってねェでやんの!バッカでぇ!」とでも言っているのか?そう考えながら返答した。
紫央「あぁ、その件か…講師には話をつけてあるから大丈夫だ。」
手短に呟き、俺は窓の外に目をやった。教室の中心では男女共にいりみだったグループが何やら騒いでいる。
女A「今日皆でご飯行こー!」
女B.C「いいねー!皆参加できるー?」
俺以外の生徒は参加の有無を表現している。俺は目の端でその光景をただ見ていた…が、参加の有無を問う質問はコチラにも当然ながら回ってきた。
女B「紫央はー?どうする?」
正直、面倒だとは思った。が、俺としてはクラスというジグソーパズルの出来上がりを見ていたかったので色良い答えを口にした。
紫央「あぁ。参加さして貰おう」
今、このジグソーパズルは8割がた出来上がっている。残り2割のピースは独自にそれぞれがハマりあって額縁から離れた位置に落ちている。俺はその残りの2割がどの様に額縁に収まるかを見ていよう。俺は教室という名の額縁に入るピースにはなれない。あくまでも観測者、傍観者、使用者…と言う客観的立場から見守り、時には手を加えようと思う。…さて、今夜の晩餐で〈額縁〉はどの様に変化をするのかな…楽しみだ