セキセイインコとの出会い
家庭の事情で大好きな猫を飼う事を許されず、もう動物を飼う事はないのだろうなあと子供心に思っていました。
時は流れ、小学6年生になったある日、父が言いました。
「会社の同僚からインコを貰う事になったから」
私達姉妹はビックリすると共に大喜びしました。
あ、言い忘れていましたが、私には歳の離れた妹が二人います。
父がインコを連れて帰ってくるという日は、もうソワソワして少しも気持ちが落ち着きませんでした。
父の帰りを今か今かと待ちわびていました。
そして、父が大きなケージを下げて帰ってきました。
中には、セキセイインコが2羽いました。
その時初めてセキセイインコを見ました。
小さくて尾っぽが長くてつぶらな目をしていて、なんて可愛いのだろうと思いました。
1羽はハルクインのオスで白を基調としたとても綺麗な色合いをしていました。
もう1羽はルチノーのメスで全身美しい黄色い羽におおわれていて、赤い目をしていました。
赤い目がルビーのようでとても綺麗でした。
私はもうセキセイインコに一目ぼれしてしまいました。
そして、これが、私とセキセイインコとの長い付き合いの始まりでした。
ハルクインのオスは手乗りとの事で、早速ケージから出してみました。
確かに手や指に乗ってくれるのですが、噛み癖があると聞いていた通り、手の甲を噛まれて痛い思いをしました。
それでも、可愛かったです。
なにしろ始めて動物を飼う事を許されたのですから…。
それから毎日ケージの下紙の取替、餌や水の取替の世話をしました。
とても楽しかったです。
ところがわずか2ヶ月後、ハルクインの子が、何に驚いたのか、ケージから狂ったように飛び出して、ガラス戸にぶつかり、あっけなく亡くなってしまいました。
もう悲しくて悲しくて、亡骸を両手で持ってずっと泣き続けました。
夜も泣けてきてとても辛かったです。
翌朝ようやく涙が枯れた頃、亡骸をそっと家の前の花壇の桃の木の根元に埋めました。
思えば、この子のおかげで私は命の儚さと大切さを知ることが出来たように思います。
虹の橋の向こうで、きっと幸せにしてくれていることでしょう。
そう思いたいです。