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⑪無音な奏曲の囚われ人  作者: 邑 紫貴
無音の世界へ

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チート(ヒロイン)

吹丘すおか 多久磨たくま


俺の世界には、常に音が存在した。バイオリンとサイトには欠かせない。

音の無い世界に、意味などないと思っていたんだ。無音など、空虚でしかないのだと。

そんな俺に、君は無音を刻んだ。

俺の価値観が崩れる。無音を目の当たりにし、心奪われ、虚無感を味わうなんて。

そんな囚われに抵抗しようと、必死で音を奏でる。

しかし……どの音も無音を覆すことなど出来なかった。

俺を捕らえて苦しめる。虚無に生じた感情は、膨らんで成長を続けて際限なく、止めるものが無い。

運命の歯車は残酷だ。君が望んだのは、俺のテリトリー。音のある世界。

俺の中で無音と有音が混ざる。在り得ない。

無音に抗って曲を奏でる俺が囚われたのは…………





カプリチオの二周目。それにも回復奥義クエストの招待状が来た。

不遇職。レベルが低いほど、回復量は増える。

だから大規模な討伐に、身近な素人を呼んでも問題がなかった。

回復の奥義を手に入れ。レベルは上げず。運営から監視であるモフを手に入れない事。


アジュールを再構築し。アジュールについていたタヌキのモフ。形が似ているから、丁度いい。

もともと気に入らない強制的な監視アイテムに、兄は利用する事を考えていた。

俺は手にしていた雪だるまのヌイグルミを見せ。それを象ったものを作ってもらう。


兄さん本来の仕事、外部チャット内の問題を解決する事に加わった。

違う外部で作ったアバターをサイトに侵入させ、問題に対処し。

素人操作の確認と活躍の成功例を作り。ヒロインを誘導していく。


『君は、俺のヒロインだよ。』


姉さんの書いた絵。それを画像にして、俺がバイオリンで音を奏でる【独創サイト】。

それは綺麗な思い出。

保健室の先生から、俺のバイオリンの録音などがあれば流したいと依頼があり。

そのサイトを紹介した。

まさか。それを君が利用するなんて思わない。


アバターは君とは真逆。

何故、そんなに傷ついているのか。自死を選ぶような行為。

君は音を望むのに。俺から、バイオリンから音を奪うように闇を願う。


無音に刻まれた君の涙は、カプリチオの奥義の防御のように美しく。綺麗で。惹かれたのに。


姉さんを喪った俺には。

簡単に、死を望む様な君に怒りも生じる。


君のアバターを人質に取り。拾った雪だるまのヌイグルミを利用して。

俺は。屋上で愛の歌をバイオリンで奏で。姉さんと、楽水さんの恋を思い出す。

命の短いことを理解した姉さんは、楽水さんへの恋をあきらめていた。

そして出会ったのは、ゲームの中の楽水さん。運命のような出会い。

父が姉さんの病室にセットしていた防犯カメラ。パソコンに仕込んだ記録データ。

何気ない二人の日常の会話。リアルで会っていれば、普通のデートと変わらない。

病状で毎日とはいかないけれど。ゲーム内で逢瀬を繰り返し。純粋な恋。かなわない悲恋。

それを邪魔して、死期を早めたゲーム『ラピスラズリ』。

許さない。


ヒロインの必要性。できれば君に光を注ぎたい。

生きて。強さを願って欲しい。


未來みらい、……一時的で良い。俺のヒロインになって。」


【独創サイト】で作ったアバター。それを変身シーンのように見せ、改良を加える。

悲しみに沈んだ君は、這い上がる努力をしていた。行動力はある。

強制的にヒロインにされ、訳も分からず画面を見つめ。それでも積極的にキーボードに触れる。

大丈夫。君はヒロインになれる。俺と共に戦って。


姉さんが願った楽水さんとの未来を、アバター二人が叶えてくれるだろう。

ハッピーエンドを。

姉さんから強制的に奪った『ラピスラズリ』を倒し、【難攻不落】の城を攻略して終わらせる。


外部チャットの出会い系の社会問題。規制を設けるのは簡単。

ただ、その隙間を掻いくぐり悪用する者には制裁を。

悪質な違反者には、アバターをリアルに似せて晒す。

試験的な検証。サイトの侵入も問題なく、アバターの動きも異常はなく、バグも生じない。


占いのサイトから、ゲームに侵入可能。妨害はあるだろう。

だけど、チート(アズライト)はゲーム内のアバター。運営に吸収された一部として存在する。


準備を重ね、流れた月日。

ゲーム内で、アズライトとして活躍し。悪目立ち。

ラスボス『ラピスラズリ』に唯一許された色、紺碧の装備。当然のチートと罵りを受け。

目的の為に、炎の奥義を乱発して強さを誇示する。炎の戦士、アズライト。

アジュールの装備で、色が変わっただけ。

二周目・アジュールを知るものが、どれほどゲームに残っているのか。

消されていく。記憶から。

それすら許せない。


アズライトは、アジュールのデータを再形成したもの。

ヒロインの君が操作するのは、カプリチオの二周目。

このゲームを終わらせるのは、アジュールとカプリチオ。

最高のエンディングを見せてあげる。

それは語り継がれるだろう。

エターナル。






END

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