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⑪無音な奏曲の囚われ人  作者: 邑 紫貴
無音の世界へ

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32/35

復讐の足音


妹ミイロの死。

直情的な友人、楽水ささな。どこまで伝えるか。どう伝えるか。俺は悩む。

涙を流してはいるけれど。少し落ち着いたのか、茫然と宙を見つめ。

そろそろ周りの視線が気になる。

「楽水、立てるか?」

「移動する。」

声をかけると、最低限の返事。

涙を拭い、足に手をかけて立ちあがる。背は高くないけれど、ミイロと並べば気にならない標準。

「なんだ。」

俺の視線に、感情の読めない表情で答えた『なんだ』。

この『なんだ』がいつも、読み切れないんだよな。

多分、女性がコイツを避けてしまうのもコレが原因だろう。

「どう話せばいいか迷っている。」

雷杏らいあんは、ゲームにいるぽこぽんと似てるな。」

俺の返事に、何を思ったのかは分からない。自分の言いたい事だけを告げて。

「ふ。説教されたか?」

「あぁ。」

不機嫌そうな顔。拗ねたような態度。多くは語らない。

職場では変わらず下ネタを語って、上司に睨まれたとかコイツの部下が言っていたけど。

部下のいるところでは無理して盛り上げるために言葉を増やし。たまに頭痛や体調不良。

不器用だなぁと思う。

「リスペクトが欲しい。」

「なんでそんなに自信がない?」

返事はない。生い立ちなのだろうか。多くは語らない。

ミイロは楽水を否定しなかった。コイツの不器用な話に、いつも耳を傾け笑顔を向けた。

ミイロは話すのが好きで、病気でなければ好奇心の赴くままどこまでも行ける。コミュ力の塊。

楽水には楽だったと思う。

自分が無理せず話さなくても会話は広がり。自分の意見を言っても、受け入れてくれる。

優しい妹に、惹かれるのを隣で見ていた。

俺は嬉しかった。けど欲情は見せるな、頼むから。


「はぁ。」

ため息が漏れる。

「どこだ。」

「今更聞くな。分かって付いてきているのかと思ったぞ。」

「しらん。」

この素っ気なさ。

悪気もなく。淡々と。体力を無駄に消費しないような生活の知恵なのだろうか。

「情報セキュリティの部屋だ。見てもらいたいものがある。」

「仕事したくない。」

「うるせぇ。黙れ。今度は顔を殴るぞ。」

「暴力反対。」

黙っていればモテるのに。いや、面白い事も言うんだけどな。

運動神経が良く、頭も良くて。顔も悪くないのに。性格もどちらかというと良い方。

それを分かってくれる貴重な異性。何故、簡単にあきらめる?

けれど、それで良かったのだとも思う。

ミイロの残りの人生を考えると、どうしても楽水の未来を奪うようで。

その短い命だからこそ、ミイロの幸せも願いたかった。


俺だって休みの日に仕事場など来たくはない。だけど。

会社所有のビルに入り。会議室の一室。

「で?『ラピスラズリ』はどうだ。」

「殺したい。」

「俺も同じだがな、潜入も兼ねて調査してるはずだぞ。」

個人制作のオンラインゲーム。

本来なら、サーバーから作成・維持・メンテ諸々。課金システムで成り立つ部分。余程の資産家。

技術もあるのに。だからこそ。【難攻不落】などといって悪趣味なアカウント吸収を繰り返す。

それが違法になるのかと問われれば。

「画像も音声もいい。考え抜かれたシナリオ。バグも少なく。終わりのないゲームにあきた。」

最後のが本音だな。

「タクマに二周目を頼んである。そろそろカプリチオも吸収に狙われる頃か。」

「そうだな。モフがうるさい。挑めと。」

ある程度のレベルや強さをクリアすれば、強制的に所持させられるマスコット。

「試したいことがある。挑め。」

「本気でいいか。」

「勝てないだろうけどな。後悔がないようにしろ。」

試したいこと。

占い。『ラピスラズリ』外部のもの。

実際に見たいのと。アジュールのイレギュラーがどう影響するのか。

まずは外部チャットの簡易な問題。それを解決するのも試しにいれるか。


「で、タクマはどれくらいで育つ?」

「どうだろな。まだ運営はミイロが亡くなったと思ってないだろうから。休みを利用して、病弱設定を無視するわけにもいかない。ミイロの行動パターンを逸脱すると、垢バンになるだろうな。特に二周目だし。」

「ありえるな。目を逸らすため、俺は奥義を寄託する。大規模な討伐が計画されて、新しいギルドまで作られるから。その前後は運営も動ないだろう。」

アジュールのアカウントが消え、イレギュラーな二周目。

悪趣味にもアバターは女。余程、弄るのが好きだと見える。


自己顕示欲。ぶっ壊してやりたい。

大規模な攻略ギルド。寄託。カプリチオの討伐。アジュールの二周目。占い。

上手くいけばいい。いかなければ全て抹消してやる。






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