占いの道標
外部サイトで、集まれるギルメンを招集し。改めて情報を共有して統制をとる。
ギルドが同じ仲間とはいえ、他のギルドのフレンドに聞かれて情報が漏れるのはあり得ること。
運営側に監視されてもいいレベルの情報。最低限。
「火属性の町で占いを数名でした後、アジュールのアバターだけが消えた。検索には、男から女に変わったのか同じ名前のアバターがいる。属性は空欄。レベル0。このゲームで同じ名前を付けるのは不可能。多分、二周目だろう。他の大手ギルドの主要メンバーにも同様の情報を伝えた。プレイヤーの多くがモフモフ所持の現状、今回がイレギュラーだろうと思われる。アジュールが二周目に戻ってくるかは分からない。俺はこの外部チャットアプリをアジュールに伝えてなかった。何か質問がある奴はいるか。」
「すまない。女アジュールにチャットを送った。同じように関心があった奴らも送ったのだろう。運営側の対策か、このアカウントにメッセージは送れませんと表示が出た。」
思わず息をのむ。連絡手段を絶たれた。
アジュールが二周目に戻ったとして、個人的なメッセージのやりとりが制限されたと知れば。
いつ死ぬか分からない彼女にとって、ゲームをする価値などない。
それを受け入れてでも、孤独にゲームを続け。この世界にいるカプリチオを見つめるのだろうか。
残りの人生……。
「これで俺達には、アジュールに何があったか二度と分からないな。運営は二周目という確率を設けたけれど、今回のイレギュラーが二周目の姿だとすれば。ソロか無言プレイヤー。属性を引き継ぎ、また育成に時間をかけて【難攻不落】に挑み。吸収されるか。」
今、このゲームをしている全員がどう捉えるのか、続けるかやめるか、ギルドで討伐に挑むか。
「今回、それぞれ思うところはあるだろう。騒ぎは起こすな。後日、改めてギルド方針を示す。以上。」
ギルドのグループチャットを終了し。ため息を吐く。
カプリチオからの返事はない。
個人あてのチャットに、新たにきたのはギルメンから。
「占い結果の同じ奴が数人いる。『挑め』だ。偶然だと思えない。その占いが出ていた奴ら全員が、攻略に挑む話を外部でしていた。聞いた噂では、この占い。外部の有名な人で、ゲームとは切り離されたものらしい。あえて聞くが。ギルマスは何だった?」
挑め。それは。
「俺は『中継者となり言葉技を伝えよ』」
占い。たかがゲームの。
けれど、ギルメンだけでなくこのゲームをする全てにとって、アジュールのことが衝撃だったのは確か。
そう。これはゲームだから。
「……残念だよ、ギルマスが攻略にいないなんて。」
俺はギルド、ファクトのギルドマスター。事実そのもの。
分からなくなる。このゲームでの事実とは。
俺の役目。中継者。『声を伝えよ』それは。
「それぞれが望んで下した決定。俺は攻略を止めない。ただ、挑むなら数は増やせ。俺なら、そうする。」
どうせ吸収されるくらいなら、勝てる見込みで。
会話を終え。来たメッセージに目を通し。あらかた落ち着いたところ。
もう一度、大きく息を吸ってゆっくり吐き出す。
俺はカプリチオが、アジュールと個人的な連絡方法を持っているとは思っていない。
憶測だけど。99%。聞かれたとしても教えなかっただろう。
もう長くはないのだと知って、このゲームで何を思ってプレイしていたのだろうか。
カプリチオに言わないでと、泣いていた。
二周目に戻ったとしても、アジュールの会話できる状況が絶望的な今。俺に出来る事。
「カプリチオ、運営が二周目アジュールのチャットを制限した。リアルで直接、やりとりが出来るなら連絡してやってくれ。俺はリアルでつながりがない。もし、お前も同じなら。伝えたいことがある。どちらにしても、これだけは言っておく。彼女を泣かせたのは、お前だ。」
これで返事が無ければ、それだけの男。アジュールの見る目がなかった。
後悔は残るかもしれないけど、途切れて良かったんだ。悲しいけれど、綺麗な思い出のまま。
カプリチオを想って死ぬのだろうか……
俺に出来る事。アジュールが二周目に戻ってくる可能性を考え。
もしかするとアジュール側からは連絡が。いや、そんな甘い運営ではない。
あの会話を聞いて、ここまで悪趣味なことをするのだから。
俺の占いの結果。




