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⑪無音な奏曲の囚われ人  作者: 邑 紫貴
中継者

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占いの道標


外部サイトで、集まれるギルメンを招集し。改めて情報を共有して統制をとる。

ギルドが同じ仲間とはいえ、他のギルドのフレンドに聞かれて情報が漏れるのはあり得ること。

運営側に監視されてもいいレベルの情報。最低限。


「火属性の町で占いを数名でした後、アジュールのアバターだけが消えた。検索には、男から女に変わったのか同じ名前のアバターがいる。属性は空欄。レベル0。このゲームで同じ名前を付けるのは不可能。多分、二周目だろう。他の大手ギルドの主要メンバーにも同様の情報を伝えた。プレイヤーの多くがモフモフ所持の現状、今回がイレギュラーだろうと思われる。アジュールが二周目に戻ってくるかは分からない。俺はこの外部チャットアプリをアジュールに伝えてなかった。何か質問がある奴はいるか。」


「すまない。女アジュールにチャットを送った。同じように関心があった奴らも送ったのだろう。運営側の対策か、このアカウントにメッセージは送れませんと表示が出た。」


思わず息をのむ。連絡手段を絶たれた。

アジュールが二周目に戻ったとして、個人的なメッセージのやりとりが制限されたと知れば。

いつ死ぬか分からない彼女にとって、ゲームをする価値などない。

それを受け入れてでも、孤独にゲームを続け。この世界にいるカプリチオを見つめるのだろうか。

残りの人生……。


「これで俺達には、アジュールに何があったか二度と分からないな。運営は二周目という確率を設けたけれど、今回のイレギュラーが二周目の姿だとすれば。ソロか無言プレイヤー。属性を引き継ぎ、また育成に時間をかけて【難攻不落】に挑み。吸収されるか。」


今、このゲームをしている全員がどう捉えるのか、続けるかやめるか、ギルドで討伐に挑むか。

「今回、それぞれ思うところはあるだろう。騒ぎは起こすな。後日、改めてギルド方針を示す。以上。」


ギルドのグループチャットを終了し。ため息を吐く。

カプリチオからの返事はない。

個人あてのチャットに、新たにきたのはギルメンから。


「占い結果の同じ奴が数人いる。『挑め』だ。偶然だと思えない。その占いが出ていた奴ら全員が、攻略に挑む話を外部でしていた。聞いた噂では、この占い。外部の有名な人で、ゲームとは切り離されたものらしい。あえて聞くが。ギルマスは何だった?」


挑め。それは。


「俺は『中継者となり言葉技を伝えよ』」


占い。たかがゲームの。

けれど、ギルメンだけでなくこのゲームをする全てにとって、アジュールのことが衝撃だったのは確か。

そう。これはゲームだから。


「……残念だよ、ギルマスが攻略にいないなんて。」


俺はギルド、ファクトのギルドマスター。事実そのもの。

分からなくなる。このゲームでの事実とは。

俺の役目。中継者。『声を伝えよ』それは。


「それぞれが望んで下した決定。俺は攻略を止めない。ただ、挑むなら数は増やせ。俺なら、そうする。」

どうせ吸収されるくらいなら、勝てる見込みで。


会話を終え。来たメッセージに目を通し。あらかた落ち着いたところ。

もう一度、大きく息を吸ってゆっくり吐き出す。


俺はカプリチオが、アジュールと個人的な連絡方法を持っているとは思っていない。

憶測だけど。99%。聞かれたとしても教えなかっただろう。

もう長くはないのだと知って、このゲームで何を思ってプレイしていたのだろうか。

カプリチオに言わないでと、泣いていた。

二周目に戻ったとしても、アジュールの会話できる状況が絶望的な今。俺に出来る事。


「カプリチオ、運営が二周目アジュールのチャットを制限した。リアルで直接、やりとりが出来るなら連絡してやってくれ。俺はリアルでつながりがない。もし、お前も同じなら。伝えたいことがある。どちらにしても、これだけは言っておく。彼女を泣かせたのは、お前だ。」


これで返事が無ければ、それだけの男。アジュールの見る目がなかった。

後悔は残るかもしれないけど、途切れて良かったんだ。悲しいけれど、綺麗な思い出のまま。

カプリチオを想って死ぬのだろうか……

俺に出来る事。アジュールが二周目に戻ってくる可能性を考え。

もしかするとアジュール側からは連絡が。いや、そんな甘い運営ではない。

あの会話を聞いて、ここまで悪趣味なことをするのだから。

俺の占いの結果。






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