火属性の町ブレイジング
ギルマスぽこぽんさんからの招待で、火属性の町ブレイジングに到着。
町の建物は赤色の豊富なバリエーション。広場には井戸があり、人間に必要な水の描写が最小限。
NPC。操作されていないキャラクター。
ゲームの設定で存在する人々が、アルコールを片手に昼間の明るい時間帯から騒いでいる。
活気があって、治安が悪いふうでもない。
空は更に燃えているような光源。
「どうだ、この町は。」
「うるさくて、好きじゃない。」
「あはは。そうか?気に入ってるんだけどな。」
「ごめん」
「いや、いいよ。風と水からしたらそうだろうな。雷属性なんて、常に嵐だぞ。雨は降らないけどな。雷鳴。頻度は調整されているけど、圧巻の画像。オススメする。誰かギルメンと仲良くなればいいし。誰とも遊ばないなら、タイミングを見て属性を入れたパーティーで行こうぜ。まぁ、追々だな。」
ぽこぽんさんは、会話が多い。頭の回転が速いのか、先を見通したことまで語る。
多分、ギルマスにはそんな人がなるんだろうな。
「ギルドの実績もあらかた片付いたろ。抜けてもいいんだぞ。」
「そうだね、もう少しいるよ。」
「なぁ、誘った俺が言うのもあれだけど。カプリチオは怒ってるだろ。その。」
言葉が詰まり、私の状況を察して心配しているのだろうけど。
会話の上手なぽこぽんさんが、困るほどの状況なのは確か。
「うん、怒って返事をくれない。」
そう、フレンド一覧にログイン状況などが表示されるのだけど。そこにはギルド名も表示される。
今まで空白だった場所。そこにカプリチオの対抗ギルドの名前が入ったわけで。
「なんで?いつ、そんな話があったの?」
「解散した後、誘われた。」
そう答えた後、全く連絡はなく。遊ぼうと誘っても返事がない。
「狩りに行くか?」
「はい」
パーティーを組み。私はボイス設定をオフにせず。
「相談してもいいですか?」
「うおっ。久々に声聞いた。てか、忘れてたぞ。そのキャラクターだしな。まぁ。好きに語れ。応えられるか分からんし。」
狩場に転送し、戦闘を自動設定にして。
「ギルドって何?」
「仲間だな。」
「フレンドは何?」
「友達だ。」
「ギルド違えば、遊んではダメ?」
「いや、ゲームだからな。まぁ、カプリチオと仲の良いアジュールのギルド加入は反対者が数名居たのは事実。」
「え?あぁ……大手対抗ギルドだからか。内情の敵情視察とか、スパイだと思うよね。」
「まぁな。けど、誘ったの俺だし。ねじ伏せるのもギルマスの役目。それでも乱れるなら、どちらかを追放だな。」
「その時は抜けるよ。」
「ふ。そうしてもらうか。楽でいい。……アジュール、カプリチオとは恋愛関係なのか?」
「違うよ。前も言ったでしょ。私よりギルド優先なんだから。」
「くくっ。主婦設定はどうした。」
「今更じゃない?もういいよ……もう、駄目だから。」
思わず涙腺が緩む。
鼻を啜って。
「おい、マジ泣きかよ。あぁ、もう。俺が悪いのか。カプリチオにも言ってやるから。泣くな!」
「違う。……スンッ……もう、長くないの。」
「え……」
「私、病院でゲームしてるんだ。彼に言わないで。お願い。」
涙が止まらない。鼻を何度も啜り。
「好きだけど、無理。だからギルドに入らなかった。本当はいろんな人と仲良くなりたかった。けど……ごめんなさい。言わずに去りたかった。限界。これはゲームだから、楽しく遊びたい。」
「そうだな、これはゲームだから。楽しく遊ぼうぜ。……アジュール、言わずに去るのはやめろ。俺達には言わなくていい。けど、カプリチオには話せ。後悔するぞ。」
パーティー転送され、着いたのは火属性の町ブレイジング。
「タイミングよく町の時間が夜になっている。来いよ。この火属性の町だけに存在する酒を飲もう。そして宿に泊まれ。占い機能で未来を予測してくれるぞ。楽しんでいけ。」
ぽこぽんさんの呼びかけで、ギルメンの招集があり。
ログインのある人、なかった人にも外部チャット機能があるアプリを介して続々と人が集まる。
これはゲーム。オンラインゲーム。
ギルドという集まった仲間。ギルドメンバー全体のチャットは会話で溢れ。
まるで、本当の飲み会のように。
私は病室でお茶を飲んだ。二度と味わえない燃える炎のように湧き上がる感情。




