序章2〜再会まで〜
天界を追放になった天使は白の扉をくぐり、魂に戻る。記憶も感情も、何もかも白紙にして、新たな命を生み出す。二度とその魂が汚れないように……。
だが、その扉をくぐる天使は数少ない。
くぐることを拒絶した天使達が到着するのは、黒の扉。
黒の扉は、魔界への入り口だ。未練のある天使や、生命力の強い天使が、魔界の最高位・魔王に唆されくぐる扉。
《鷸よ。まだ、死ねないのだろう?ここで生きてみないか?汝の願い、叶えてやろう》
自分の胸の内を見透かされてるような、魔王の口振り。自分の心がただ単純なだけなのだろうか。
「俺の願いを、叶えてくれ……。」
俺は、堕天の烙印を押され、堕天使になった。堕天使とは、悪へ堕ちた天使……つまり、悪魔の一歩手前の段階だ。未練が強いほど、より悪魔に近い堕天使になれる。
願いが叶えばそれでいい。たとえ、世界がなくなっても、俺には関係ない。
世希がいれば、いい。
一年後
俺の未練が強すぎた為、魔王の計らいで悪魔になった。
悪魔の仕事は、下界を脅かすこと。人間を唆し、悪に染めること。そうすれば、人間の善の心で生きている神の力が弱くなり、容易く倒せるようになるらしい。
「今から、お前の指導係になる犹だ。下界では好きなだけ暴れろ。ただし、浄魔軍には気を付けるんだ。アイツ等は俺達の弱点をついてくるからな。」字通り血気盛んな男で、三歳くらい年上に見える。
「アタシは萸螺。鷸、アンタのこと少し聞いたけど………。」
深い海の底のような紺色の髪の萸螺。彼女も犹と同年代だろう。
不安げな色を顔に浮かべ、続きを口にする。
「無理だけはするなよ。辛いのは分かるけど……。………、それだけよ。」
もの言いたげな萸螺の喋り方が気になった。
……やはり、自分は単純なのだろうか。
「じゃあ、行くぞ。」
犹の掛け声を合図に、俺たちは下界へと舞い降りた。
下界(人間界)
(浄魔軍)
天界にはない陽の光が眩しい。人間の言うところ、今は“早朝”というらしい。人間は、一日の始まりが一番心を動かしやすい。なので今の時間帯悪魔達の出没率が高いと言われている。
「一応、今のところは異常無し……と。世希の初陣は、また次の機会かしら…。」
那海が無線に耳を傾けながら周りを気にする。
「…………。」
こんな時に迷っている自分がいる。
【G地点にて悪魔出現…!!至急応戦用意!!】
「「!?」」
どうやら神様は、私に迷う時間を与えてくれないらしい。
(悪魔軍)
「くそっ!しょっぱなから囲まれてやがる!!鷸、気を付けろよ!!」
下界に降りてみると、すでに浄魔軍が待機していたらしく、四方八方を塞がれていた。
俺は仲間の声なんて聞かず、ただひたすら姿を探す。アイツの姿を――……。
さらに浄魔軍の援軍が来た。その中に、アイツはいた。
「「やっと、逢えた…」」
なんとか続いてます。難しくて死にそうなんですが……。それはさておき、序章が2回!?と思う人がいそうなんで、解説です☆★理由は、鷸と世希の両方の視点で長く書きたかったからです!本来ならば、序章は6回迄続けようと思ったんですが……この二人は主人公ではないんですよ。なのでカットをしまくって、今に至るわけなんです。次回の話で、本当の主人公の登場です♪♪