第四章2〜四人の集い〜
「よぉ…。」
隣街に着いてすぐに、湊麻は蛍麻と再会を果たした。
「久しぶり、兄さん。……っと、そのケガ、大丈夫?」
湊麻の目に、絆創膏やら包帯やらが写った。
「…おぉ、いつもの事だ。」
苦笑しつつ、それより…と蛍麻が続ける。
「架羅は…いねぇだろうな?」
「うん。この隣街に行くって言ってた。」
『もう…行くの?』
電話を終えた湊麻に、架羅が尋ねた。
『うん。久々に兄さんに会うんだ。』
『そっかぁ。……じゃぁ、私も次の街に行くよ。』
『え!?』
焦っている湊麻に対し、架羅は明るく続ける。
―…湊麻の様子に…疑問一つ抱かずに。
『安心して?湊麻の行くキルゴの隣街、クスーラに行く予定だから。』
『そこって、治安が悪いんじゃ…。』
『大ー丈ー夫♪平気だよ!!………あ、蛍麻によろしく言っといて!』
湊麻の言葉を遮って、架羅は笑った。
最近の会話を回想しながら、架羅の行き先を再確認する。
「架羅は、クスーラに行く…って。」
「あそこって…治安悪かったよな?」
街の名前を聞いた瞬間、蛍麻の表情が険しくなった。
「クスーラの今の治安は良い方よ?」
二人の後ろから、漆黒の髪を一つに結った女性が出てきた。
「「う…傴尓!?」」
振り返った二人の声が、見事に重なった。
「何よ。化け物が出たみたいに…。」
「二人が遅いから、迎えにきたんですよ。」
「「深傴。」」
溜息を吐く傴尓の後ろから、ひょこっと深傴が出てきた。
また同じように、声が重なって響いた。
「お久しぶりです。」
そんな二人を見て、深傴が笑っていった。
「さて、“例の計画”について…話し合うわよ。」
表情を消して、傴尓が言う。
そして四人は場所を移動した。
「“あの方々”の命令が入ったの。」
深刻な顔で、傴尓が呟いた。
近くの廃屋(―…といっても、状態はまだ新しい)で、四人は小会議を始めた。
「……何て?」
「―……『今すぐに実行に移せ』って…。」
傴尓は辛そうに言い、深傴は下を向いた。
「「!?」」
聞いた直後、湊麻、蛍麻の表情が凍り付いた。
「…に言ってんだよ!まだ早いだろ!?」
机に手を叩きつけて、蛍麻が怒鳴った。
「私だって嫌よ!」
傴尓もまた机に手を叩きつけ、怒りを投げ返す。
「…同族を殺すなんて……もう沢山よ…。でも…これが私達の仕事何だもの!仕方ないじゃない……。」
泣きそうになりながらも言葉を紡ぎ、全て吐き出した後、力なく座った。
「“四人以外に禁忌が存在する……ならば、自分達も掟に背いても良いんじゃないのか?”という声が各地から上がり始め…収集がつかなくなってます。なので……“早急に処分を”とのことです。」
深傴が下を向いたまま、ぎこちなく言った。
蛍麻と湊麻は、言葉を失ったままだった。
これを更新した場所が、某パスタやさん。オムライスが来るのを待ちながら、カウンターの下で…カチカチやってます。―………そろそろ来るかな?(笑。