序章〜別れと約束〜
全ての始まりは、神々が一人の天使を追放したことから起こった。
浄魔軍の位階五・五、攻撃部隊として人間界へと派遣されていた天使・鷸は悪魔軍との戦闘中に、神の子となる人間を誤って殺してしまった。
『優秀であったお前が、禁忌を犯すとは…。…理由がどうであれ、刑を処さねばならぬ。』
年寄りの男性が残念そうに目を伏せる。この男性こそが天使の世界で最高位に就く人である。属に言う、神様だ。
「……覚悟は、出来ています。ただ、心残りが一つだけあります。」
跪いていた顔を上げ、神様を見上げた。
『心残り……とな?……そうじゃなぁ、叶えてやろう。鷸よ、お前の心残りは何じゃ?』
「それは…………」
「……世希…、……ごめんな…。」
俺の心残りは大好きな天使、世希の事。
「バカッ、バカッ!!」澄み切った蒼い瞳に涙を一杯に溜め、世希は俺の胸を叩く。
「何で!何で鷸なの!?ねぇ、私を置いて行かないでよ!!」
世希は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら泣き叫んでいる。何で俺は、いつもコイツを泣かせてしまうのだろう。
自己嫌悪と世希を強く抱き締めた。
「世希、……頼みがあるんだ。俺が出ていった後、浄魔軍に入隊してくれないか?」
浄魔軍とは、その名の通り、悪魔・堕天使を浄化する天使の特殊部隊だ。今まで、“危険だから入るな”と世希に言い続けてきたから、俺の言葉を聞いて、世希は戸惑いを隠せないようだ。目を見開いて見上げてくる。
「鷸…?…なんで…っ」
「考えがある。俺はまだお前と……離れたくない。」
まだ、世希と生きていたい。だから、俺はまだ死ぬわけにはいかない。
そっと世希の耳元に唇を近付ける。そして、“俺の考え”を小さく口にした。
「鷸!?」
「俺はそうしたい。世希が嫌なら、諦めて消えるつもりだ。……どうする?」
「…決まってるじゃない。」
世希は涙を流しながら表情を固く締め、賛成した。
一年後
「世希!早くしな、もう出るよ!!」
先輩の那海が呼んでいる。
「はいっ!」
武器を手に取り、浄魔軍本部の二階、自分の部屋を後にして、一階の広間に向かって階段を駆け降りる。
「遅い!あんたの初陣なんだから、気を抜くんじゃないよ。」
「はい、頑張ります。」
那海は位階七・五で攻撃軍の副隊長。私は位階四の攻撃軍。攻撃軍の中ではかなりランクは低い。
その代わり、看護軍としての知識、防御軍としての知識も習った。どちらの位階も、四。ランクが低いものは低いものなりに、頭を使えという訳だ。
「そうだ、世希。」
玄関を先に出ようとしてた那海が突然振り返った。「あんた…………」
「はい?」
「……無茶だけはするなよ。敵は敵、だからな。」
「!?」
那海は苦笑いを浮かべながら、確実に世希にこれから起こることを読み取っていった。
扉の向こうは決戦の場。
どぅもっ!夕凪です☆★今回、初投稿&初ファンタジーってことで……かなり緊張してます。読みにくいとか、話が分からない等々あるだろうと…いや、絶対ありますが、そこはかなり目を伏せてお付き合いくださいませ。。。