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さんわんこ

書いてビックリ、バーベキュー編からなかなか進まない。

まぁ、こんな感じで進む作品だと思ってください。基本的に、平和でけもけもで、もっふもふです。はーとふるすとーりーです。わんこらぶ。


早速お気に入りしてくださった方が居るようで。ビタミンもっふもふを供給できるよう、頑張ります。

 さて、ウサギの焼き肉である。

 センは、シロ(豆柴)を頭に乗せ、ウサギの串肉を手にカルラ(巨大柴犬母)の居る場所に戻った。カルラはしっかりと石で竈を作っていたし、モコ(豆柴)も手伝ったので薪は十分な量があった。

 センは串肉を土に斜めに刺してセッティングしながら、チャッカマンも火打ち石もなくどうやって火を付けるのかと思っていた。そんな事を考えながら、何か巨大な石?結晶?を口にくわえて運んでいるカルラを眺めていると、石を運び終わったカルラがこちらへやってきた。そして、準備が終わった竈を眺め、センを眺め、

 ガウッ

 ・・・と、前足で竈を指しながら一声鳴いた。お手、である。かわゆす。


 「あー・・・えっと、竈?火?」


 ガウ

 コクリと頷く。どうやら、火を付けないのかと言っているようだ。


 「いやー、火を付けたいのは山々なんだけど、付ける手段がないんだわ。」


 カルラは、クテッと首を傾げる。何言ってるの?と不思議そうな顔だ。


 「火打ち石とかの、火を付ける機具がないんだよ。だから、木を擦りつけて摩擦熱で付ける事になるかな。ちょうど枝もあるし、こんな感じで・・・」


 センはそう言うと、そのへんに落ちていた枝を二本拾い、あぐらをかく。そして、片方の枝を両足の足裏で挟み、もう片方の枝を垂直に突き立てると、手で揉むように枝を回し始めた。回転する枝と足で挟んだ枝が擦れ合い、摩擦が発生している・・・ようだが、火が付くには温度が足りないようだ。センは初心者なので仕方がない。

 カルラは、その風景をじっと眺めていた。へー、ふーん、ほほー、といった感じで興味深そうに観察している。おそらくだが、この演示だけで摩擦が発生する原理を理解したのだろう。トコトコと適当な岩の有る場所まで行き、自分のツメを擦りつけていた。おお、すげえ火花でてる。これなら火種さえあれば何とかなりそうである。

 モコはもっと単純で、二本の小枝をくわえて持ってきて前足で枝を挟んだ状態でチョコンと座った。どうやらセンの真似を行いたいようだ。が、いかんせんキュートな柴犬ぼでぃー。足の裏でガッチリと枝を固定する事が出来ないようで、前足と後足で一本ずつ枝を持ったままプルプルしている。あまりのかわゆさに思わず手助けしてやりたくなるが、つぶらな瞳が目が真剣なので、ここは気が済むまでやらせる事にした。できなくて泣いたら慰めてあげよう。


 さて、火花を散らせるのはカルラに任せて、センは火種を作りにかかった。火種の基本は、乾燥している事、火が付きやすい=空気との接触面積が大きいこと、である。よって、乾燥した木の皮を細かく糸状にし、毛玉を作る事にする。

 しかし、乾燥した木の皮は想像以上に硬く、糸状にするのが難しい。落ちている石を使ったりしたがどうもうまくいかない。

 ・・・と、今まで邪魔をしないよう肩に乗っていたシロが、あぐらをかいている足の間に降りてきた。そして、ちょっとどいてほしいなと頼もうとしたセンに向き直り、「あー」とかわいい口を開けて停止した。ちょいちょい、と前足で、シロの口の中を指す。口から覗くちっちゃい犬歯がかわいらしい。キスして良いかな。


 (・・・・・・? あーーー、なるほど。自分の口を使えってことか。)


 そう思うと、センは乾燥した木の皮を口にくわえ、思いっきり噛み千切ろうとした。だが、木の皮は予想以上に硬く、センの噛む力では効果が無いようだ。あとこの皮すっぱい。毒じゃないだろうな。

 センは、恨めしそうに歯形の付いた木の皮を見る。他の材料を探すしかないのか。

 ・・・と、シロが今だ口を「あーっ」と開けて、前足で自分の口を指しているのに気が付いた。


 「・・・? あ、シロもやりたいの?」


 きゅー!きゅー!

 どうやらそのようだ。ちなみに、シロの口からよだれが垂れてGパンがえらいことなってるんだが、かわいいから許す。

 とりあえずセンは、木の皮をシロの口に持っていった。シロは前足でハッシと皮を掴むと、口にくわえて・・・


 がりがりがりがりがガリガリガリガリガリガリガリガリりがりがりがりがりがりがガリガリガリガリガリガリガリガリッッッッ


 ・・・リスもかくや、という猛烈な勢いで裁断していった。ものの十秒足らずで木の皮は木の繊維になる。まるで魔法のようだ。


 (・・・・・・うん、そりゃあのジョンの子供だもんねー。あたりまえだよねー。・・・ちくしょう・・・。)


 聖人のような目になったセンは、「みてみてっ!できたよっ!じょうずにできたよっ!きのかわ、ほそくなったよっ!」ときゅーきゅーじゃれついてくるシロをなでなでしながら、食物連鎖について思いを馳せる。おそらくだがシロのアゴの力は、センの比ではなく強力なのだろう。まさに生まれながらの格差だ。かわいいのに。

 ということは、あっちで謎の岩(前カルラが運んできた物)を懸命にガジガジと噛んでいるモコも、(まったくそうは見えないが)パワフルなのだろう。・・・いや、あの一見普通の岩のような何か、実は超硬いんじゃなかろうか。 

 もはやこの世界の全ての物が、外見なんか関係ないぜ精神、で構成されているように見えてきた。疑心暗鬼である。この木の枝も実は焼いたらカレー味が出ると言われれば、信じてしまいそうだ。

 

 さて、なにはともあれ、シロの協力により、火種用繊維の完成である。

 火花を出す練習だろう、竈の側で岩に向かってツメを振り、岩をツメで切り裂いている(えっ?)カルラに向かって歩いていく。途中で、未だに両足の裏で枝を固定しようと頑張っていた(涙目だった)モコを回収する。モコは、私はまだできますっ!もういちどちゃんすを!おねがいしますからっ! と、きゅいきゅいセンの指を甘噛みしてきて非情に申し訳なかったが、時間切れだから仕方ない。

 ただ、ひたすらに擦ろうと奮闘したからか、粉になった木屑がモコの前に溜まっていた。それは貴重な火種で、モコのおかげでたくさん手に入ったよ、当初とは違ったけどこれで火が付けられそうだよ、と伝えたところ、凄く嬉しそうにきゅいきゅい体を擦りつけてきた。モコの努力が無駄じゃなかったのが、センとしても嬉しい。


 そしてついに、竈に、「モコの作った一次火種、木屑」 「シロの作った二次火種、繊維」 「カルラ・モコが作った竈と薪」 「センとジョンが作った串肉」が集まった。あと、カルラが運んできてモコがガジガジしていた岩は岩塩のようだ。調味料として葉っぱの上に置いてある。


 「・・・さあ!火を付けよう! カルラさん、お願いします!」

 ガウッ!(ッス・・・。)


 センのかけ声と共に、カルラが岩に向かって構えをとる。集中を高めているのだろう、周囲に静寂が訪れた。

 そして、カッ!と目を開くと共に放たれた、右前足での、一閃。それは岩肌を舐めるように超速で擦り、大量の火花を発生させた。もし少しでも岩側にずれたなら、岩にめり込み切断するだけだっただろう。もし少しでも外側にずれていたなら、空を切ってかまいたちが発生しただけであろう。まさに、神業であった。

 そして発生した火花は、モコの木屑に着火。ほどなくしてシロの繊維に燃え移り、そしてカルラの薪に燃え広がった。近い未来にジョンとセンが裁いた肉が焼け、モコの塩を経由して、みんながしあわせになる「満腹」が訪れるであろう。


 まさに、みんなで作った晩ご飯、である。


 歓声が巻き起こった。

 センは、やったああああああ!!!!!  と、叫びながら、思わずカルラに抱きついた。食物連鎖からくる恐怖はそこには無く、うわモッフモフだ! モッフモフだぁ~い! とモフモフを楽しんでいる。

 カルラも、センとの協力で成し遂げた感動が大きかったのだろう。抱きつかれるままに、センの顔をペロペロなめ回している。シロとモコも、センの肩の上できゅいきゅいきゅーきゅー、大はしゃぎだ。みんな笑顔、である。そう。そこには、何かを成し遂げた家族の姿があった。







【sideジョン】


 ・・・・・・そんな大騒ぎを、彼は、ジョンは、眺めていた。彼は、近くの川まで水を取りに行っていたのだ。

 一人、ちょっとだけ遠くから、大はしゃぎする四人(3匹と一人)を眺める。


 (・・・・・・・・・・・・幸せそうなのは良い。良いんだが・・・なんだろう。この感情。)


 ジョンは、なんだか納得がいかない。

 正直混ぜて欲しい。混ぜて欲しいのだが、皆がなぜ大はしゃぎしているのかが判らないので混ざる事が出来ない。そしてそもそも、自分を置いて幸せそうな家族+1を見て、少し不満である。むむむ。

 

 ふと、はしゃぐ皆の横にある竈に、火が入っているのを見つけた。おお、火が付いたのかと思うが、どうにも火力が弱いように感じる(今火を付けたばかりなのだから当然である。)。


 (・・・ふむ。少し火を強めるか。)


 ジョンはそう考えると、竈に近づいていき、軽く構え、息を吸って・・・




【sideセン】


 ・・・大はしゃぎしている最中、ふとジョンが目に入った。どうやら水を汲みに行っていたようだ。ひょうたんのような物が首にたくさん掛かっている。

 さすが一家の大黒柱だと感心しつつ、みんなで協力して火を付けたんだよ! と自慢しに行こうとして・・・・・



 いとも簡単に、

 お手軽に、

 自分たちの苦労がなかったかのように、

 さも当たり前のように・・・




 ・・・ジョンが口から火を噴いた。わおーんっ。




 一気に燃え上がった竈を側に、センと、モコと、シロと、カルラは抱き合ったまま、顔だけ向けてジョンをみつめる。今しがたの熱狂なんか無かったかのように無表情だ。正直、ちょっと怖い。


 ふと、ジョンがこっちを見た。そして「おーみんな、楽しんでるなー。水持ってきたぞ。さあ晩飯だ!」とばかりにわっふわっふ近づいてくる。

 そして、漂う異様な気配に気付いたのだろう。わふ? と首を傾げた。


 「く・・・」


 く?


 「「「「空気読めええええええええええええええ!!!!!!!!!!」」」」


全員の跳び蹴りがジョンに突き刺さり、木を五本ほどなぎ倒しながら20m程度吹き飛んだらしい。

表現の微調節。(8/1)


==登場人物紹介==


セン  ~ 主人公。人間。大学院時代は理路整然と思考する研究肌の人間。だったのだが、もっふもふにやられて脳が溶けた。

ジョン ~ 巨大柴犬一家の父。体長は6mくらい。モノ○ケ姫のわんこをキュートにした感じ。柴犬だけどふっさふさ。わふー。

カルラ ~ 巨大柴犬一家の母。体長は5mくらい。がおーっ。

シロ ~ 好奇心旺盛な悪ガキっ子。センの頭の上がお気に入り。甘噛みするのが好き。きゅいきゅい。

モコ ~ 真面目な良い子で頑張り屋。涙目になりながらも頑張り続けるガッツを持つ。体を擦りつけるのが好き。きゅーきゅー。


なお、シロとモコは普通柴犬の子犬サイズです。大きくなったら巨大柴犬サイズ(5~6m)になります。

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